ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
トルシエが考える日本代表の問題点。
「西野にナショナリズムを託したのか?」
posted2018/05/20 11:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
フィリップ・トルシエは現在、中国1部リーグの重慶当代力帆でスポーツディレクターをつとめる傍ら、自らのワイナリーをボルドー・サンテミリオン地区に有し、2014年からワインの製造も手掛けている。と同時に、日本サッカー、とりわけ日本代表については、常にその動向を気にかけ、熱い視線を向けている。
ヴァイッド・ハリルホジッチ解任騒ぎも一段落し、いよいよワールドカップ本大会に向けての最終段階に入った感があるが、本当のところ、トルシエは突然の解任劇と西野朗新監督率いる日本代表の可能性をどう見ているのだろうか――。
監修:田村修一
「協会がそう分析したことについては尊重」
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――ヴァイッド・ハリルホジッチが日本代表監督を解任されたのは驚きでしたか?
「驚いたことは驚いたが……その答えはウィとノンの両方になる。
まず驚きであったのは、ワールドカップ本大会を2カ月後に控えて監督を交代するのはほとんど考えられないからだ。というのも監督こそはチームのサッカー哲学を体現するものであり、代表の顔でもあり、予選突破の立役者でもあるからだ。日本を本大会に導いたのはヴァイッドだ。だから直前のテストマッチ以外に満足な準備試合もなしに、大会の2カ月前に監督を交代するのは私には大きな驚きだった。
しかし一方で日本から伝わって来る情報――メディアの批判やスポンサーの圧力といったような――に鑑みれば別に驚きとはいえなかった。試合の結果を見てもそうだ。
ここ最近の結果は芳しくなく、内部で何が起こっているのか私には分からないが、チーム内に断絶の気配が感じられた。ヴァイッドと選手、ヴァイッドと協会の間の断絶だ。
恐らく協会は、ここ最近の試合結果とヴァイッドとスタッフや選手、協会、スポンサーの関係の変化を考慮して、このままの状況が続くと本大会でのグループリーグ突破が難しくなると判断したのだろう。
協会がそう分析したことについては尊重すべきだ」