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トルシエが考える日本代表の問題点。
「西野にナショナリズムを託したのか?」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2018/05/20 11:30

トルシエが考える日本代表の問題点。「西野にナショナリズムを託したのか?」<Number Web> photograph by Getty Images

日本代表新監督就任記者会見での田嶋幸三会長と西野朗監督。お祝いの雰囲気が少なく、西野氏の硬い表情が印象的な会見となった。

この時点で代役を選ぶとしたら西野氏しかいない。

「とはいえヴァイッドの代役を選ぶとしたら唯一の選択肢が日本人監督であるのも間違いない。何故ならたとえ世界最高の監督でも、準備の時間が十分ではないからだ。

 外国人の新監督にとっては、コミュニケーションやメソッドを日本に向けて変えねばならない。それは状況をさらに悪化させるだけだ。だから私が考えつく唯一の解決策は、ポジティブな精神的ショックを作り出すために、日本人の中から誰かを新監督に選んで雰囲気作りをすることだ。

 哲学を変える時間はない。選手たちはヴァイッドが推し進めた方法に則ってプレーする。そこを大きく逸脱することはできない。唯一の違いは香川や本田、岡崎らがグループに復帰することだ。再び彼らを頼りにする。そしてよりスムーズなコミュニケーションを図る。

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 私が思うには最も賢明な決断であるといえる。西野氏を監督に据えるという田嶋会長の決断は、唯一の解決策だ。もちろん岡田氏の復帰という選択肢もあるが……」

W杯本番直前に中山と秋田をチームに加えた理由。

――しかし岡田氏はS級ライセンスを返上して指導者を引退しました。

「つまり後方に退いたわけだ。岡田氏が道を譲った以上、西野氏が最善の選択ということになる。求心力を高める最高の選択肢だ。多少ナショナリストの傾向があるものの、それもまた当然で仕方のないことだ。ナショナリズムを喚起することでもプラスアルファが生まれ、人々の誇りや名誉も回復するかもしれない。選手は全力を尽くすだろう。

 かつて私もまた同じ方法をとった。ワールドカップ本大会の直前に中山(雅史)と秋田(豊)をチームに加えた。国威を発揚するためのメッセージだった。彼らを呼ぶことで、日本人に誇りと勇気を与え、彼らの気持ちを高めたかった。

 あのことは、当時にしても荒療治であるといえた。誰も私が彼ら2人を招集するとは考えていなかったからだ。実は、あの決断は最終的な23人のリストを決める1時間前の選択だった。もちろん彼らの可能性は前から考えてはいたが、確信を持って決めたのは1時間前だ。

 彼らがチームにプラスアルファを与えてくれる。強い目的意識と求心力で、チームに欠けているものを埋めてくれると……『勇気』と『誇り』を彼らがチームに与えてくれた」

【次ページ】 「代表チームとは『誇り』を体現するもの」

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