欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
起用法を巡る騒動は世界でも日常的。
騒動の主役がハリル、なのが寂しい。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2018/05/02 11:30
かつて所属したユベントスのジダンとマッチアップするR・バッジョ。指揮官との確執は常に報じられるところだった。
関係がこじれる原因は起用法のいざこざ。
監督と選手の確執など、芸能人のゴシップネタくらい、サッカーの世界には掃いて捨てるほど転がっている。それが理由の解任劇は珍しくもなければ、礼節を欠くものでもない。ましてや法に訴えるなど聞いたこともない。
両者の関係がこじれる原因は、ほとんどの場合が起用法を巡るいざこざだ。
選手にとって、自分を使ってくれる監督は良い監督で、そうでない監督は悪い監督なのだ。ベンチに座らされ続ければ、当然選手はストレスを溜め込む。
優秀な指導者は、そうした不満分子も上手くコントロールしながらチームをまとめていく。どんなに反抗的でも戦力として必要と判断すれば、時にアメを与えて飼い慣らす。だが、それでも制御不能な段階に至っては、選択肢はふたつにひとつしかない。
ペップ相手に反旗を翻したイブラ。
選手が出て行くか、監督が出て行くか。
バルセロナ時代のズラタン・イブラヒモビッチが前者のケースだった。2009年の夏、イタリアのインテルからバルサにやって来たイブラは、リーガ開幕から5戦連続ゴールを決めるなど、周囲の予想に反して瞬く間にチームにフィットした。
ところが、シーズン後半戦になると徐々にベンチを温める時間が長くなる。当時のジョゼップ・グアルディオラ監督が、リオネル・メッシを中心としたチーム作りに着手したため、イブラの序列が急降下したのだ。
「メッシのために犠牲になりたくはない」
そう直談判すると、以来ペップは目も合わせてくれなくなり、結局“スウェーデンの王様”は1年でカタルーニャの地を去るのだ。
彼のペップ評はいまなお辛辣である。
「最悪ではないが、俺がこれまで出会った中で最も幼稚なコーチだ」