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本塁クロスプレー、捕手の位置は?
センバツで気になった「暴力と知恵」。
posted2018/04/08 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
「センバツ甲子園」は“本命・大阪桐蔭”が最後までレベルの高い野球を展開し続けて、その幕を閉じた。
大会前に予想したのは、次の3点だった。
・センバツには珍しく、甲子園の常連校がたくさん出場してくるので、例年よりお客さんの数も多く、いつもより活気のあるセンバツになるのではないか。
・投手に、これといって大会をリードしていけるような人材が見当たらず、一方で明らかに「打撃のチーム」が多く出場してくるので、打ち合いの試合が多くなりそう。
・大阪桐蔭の戦力充実は間違いない事実だが、だからといって大阪桐蔭の「ひとり勝ち」になるほど、野球は単純じゃない。
3つ目の結果は、大阪桐蔭が見事なまでにひっくり返してくれたが、最初の2つはなんとなくその通りになったようだ。
「投高打低」が普通だったセンバツ。
とりわけ、2つ目の「打撃戦」に関しては、準々決勝が壮絶な打ち合いになった。
大阪桐蔭19-0花巻東のように、一方的に打撃練習の相手にされてしまったようなケースもあれば、創成館に10点奪われながら11点を奪い返した智弁和歌山に、やはり星稜に9点を奪われたものの14得点で圧倒した三重。
これまでは打線が調整不足なことが多く「投高打低」が普通だったセンバツに、大きな変化が現れてきたことを予感させる現象が次々に起こった。 決して“乱戦”なわけではない。エラーや怠慢プレーがからむ凡戦で「ラグビースコア」になっているわけでもない。
投手たちだって、センバツにやって来ている投手たちだ。高校生としては十分にハイレベルなのだが、一方の打者たちのレベルがそれを上回って、過去のセンバツと比べてもバッティングの力が高かったのは間違いない。