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決勝で1点差、極限の緊張感の中で。
帝京と明治が見せたラグビーの真髄。

posted2018/01/13 11:30

 
決勝で1点差、極限の緊張感の中で。帝京と明治が見せたラグビーの真髄。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

帝京大の9連覇。その事実だけでは語れない80分間の激闘が秩父宮にはあった。

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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Nobuhiko Otomo

 絶対王者。

 帝京大ラグビー部の形容句としてすっかり定着した言葉である。大学選手権では、2009年度に初優勝を飾って以来、今季(2017年度)で9連覇。事実だけを見れば、どこにも危なげない勝利を積み重ねてきたように見える。

 ただ数字を見ると、常に圧倒的な勝利をあげているわけではない。今季決勝のスコアは21-20。わずか1点差だ。だがスコアが接近したからこそ、決して負けない王者の強さが際立って見える。

帝京・堀越主将「本当に楽しい試合でした」

 キーワードは「楽しむ」だ。決勝を戦い終えた会見で、帝京大を9連覇に導いた堀越康介主将は言った。

「80分間、明治大学さんが100%の力でぶつかってきて、ファイトしあって、本当にいい試合になったと思っています。本当に楽しい試合でした。ガマンの時間帯が多く続いたゲームでしたが、これを全員で楽しもう、粘り強くガマンしようと試合中もずっと声をかけあって、行動できて、ガマンの時間を楽しめたことが逆転につながったと確信しています」

 日本語の「楽しい」は、「楽」という漢字のイメージに引きずられてか「ラクをする」という印象を与えがちだ。だが、楽しい=ラク、では断じてない。

「傍から見たら厳しい場面に見えたと思いますが、そこを本当に楽しもうと。この1年間は、監督がいつもおっしゃる『ラグビーを楽しむ』ということの深さ、その意味を考えながらやってきました。だから、このゲーム、クロスゲームを楽しむことができたと思います」

【次ページ】 望んでいない状況こそ楽しいというメンタル。

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