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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
スターダム“敗者引退マッチ”に賛否も「伝説の試合になる」上谷沙弥が断言…「もう、好きとか嫌いとかじゃない」愛憎を超えた“中野たむへの思い”
posted2025/04/19 17:11

引退をかけて中野たむと対戦する上谷沙弥。宿敵への“本当の思い”を明かした
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
上谷沙弥も見ていた「中野たむと闘う夢」
悪の世界に身を投じて9カ月。赤いベルトを手にして4カ月。上谷沙弥は不敵な笑みを浮かべて口を開いた。
「歴代の赤いベルトの王者たちは、団体最高峰の赤いベルト、スターダムの看板を背負って重苦しく見えていたけれど、私は自由にハチャメチャできて、他のベルトを持っていた時より一番楽しいな。悪いことも、型にはまらず好きなようにできる。プロレスだけじゃなくてメディアに出ることも増えて、他のジャンルの一流の人達にも出会えて、日々刺激を受けている。ただ、ちょっと忙し過ぎるけどな(笑)」
上谷は12月29日に両国国技館で「だまし討ち」で中野たむから赤いベルトを奪った。
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「だまし討ちは一つの作戦だよ。自分が赤いベルトを取るための心理作戦。あいつがプランチャを受け止めなかったせいで私は脱臼した、と事前に揺さぶりをかけてたからな。そのスキをついて勝利をもぎとった。これが今の私だ。それから、中野たむは負けたばかりなのに、赤いベルトに挑戦したいと意味のわからないことを言い出して。玖麗さやかに手を出したこと? 玖麗は私に憧れてスターダムに入ってきたんだ。だから、こっちでやったほうがのびのびできると思って誘った。中野たむをメチャクチャにして、コズミック・エンジェルズごと破壊しようとしたんだよ」
中野が上谷の夢を見ると言っていたので、上谷にも聞いてみた。
「もちろん夢を見るよ。中野たむが出てきて、闘ってるんだよ。普段プロレスのことしか考えてないから。色々な攻防が夢に出てきて、良い技の切り返しをしていたら、夢から目が覚めた時にメモるんだよ。メモをしてからまた寝る。夢は全部カラーだよ。モノクロの夢なんか見ないな。普通に、現実と同じで見ているままの感じ。夢は途切れ途切れで、試合は決着には至らない」
「もし、中野たむに負けたら?」上谷沙弥の答えは…
3月3日、後楽園ホール。上谷は「敗者退団マッチ」で中野に勝利した後、リングを降りた中野をリングに呼び戻して「引退」の言葉を引き出した。だが、さらに上谷自身も「引退をかける」と口にしてしまった。