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スターダム“敗者引退マッチ”に賛否も「伝説の試合になる」上谷沙弥が断言…「もう、好きとか嫌いとかじゃない」愛憎を超えた“中野たむへの思い”

posted2025/04/19 17:11

 
スターダム“敗者引退マッチ”に賛否も「伝説の試合になる」上谷沙弥が断言…「もう、好きとか嫌いとかじゃない」愛憎を超えた“中野たむへの思い”<Number Web> photograph by Essei Hara

引退をかけて中野たむと対戦する上谷沙弥。宿敵への“本当の思い”を明かした

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原悦生

原悦生Essei Hara

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 4月27日、横浜アリーナでワールド・オブ・スターダム王者の上谷沙弥と挑戦者・中野たむによる「敗者引退マッチ」が行われる。赤いベルトがかけられているが、どちらが勝つにせよ、女子プロレス界は一人の人気レスラーを失う。決戦を控えた両者に話を聞いた。(全2回の2回目/中野たむ編へ)

上谷沙弥も見ていた「中野たむと闘う夢」

 悪の世界に身を投じて9カ月。赤いベルトを手にして4カ月。上谷沙弥は不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

「歴代の赤いベルトの王者たちは、団体最高峰の赤いベルト、スターダムの看板を背負って重苦しく見えていたけれど、私は自由にハチャメチャできて、他のベルトを持っていた時より一番楽しいな。悪いことも、型にはまらず好きなようにできる。プロレスだけじゃなくてメディアに出ることも増えて、他のジャンルの一流の人達にも出会えて、日々刺激を受けている。ただ、ちょっと忙し過ぎるけどな(笑)」

 上谷は12月29日に両国国技館で「だまし討ち」で中野たむから赤いベルトを奪った。

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「だまし討ちは一つの作戦だよ。自分が赤いベルトを取るための心理作戦。あいつがプランチャを受け止めなかったせいで私は脱臼した、と事前に揺さぶりをかけてたからな。そのスキをついて勝利をもぎとった。これが今の私だ。それから、中野たむは負けたばかりなのに、赤いベルトに挑戦したいと意味のわからないことを言い出して。玖麗さやかに手を出したこと? 玖麗は私に憧れてスターダムに入ってきたんだ。だから、こっちでやったほうがのびのびできると思って誘った。中野たむをメチャクチャにして、コズミック・エンジェルズごと破壊しようとしたんだよ」

 中野が上谷の夢を見ると言っていたので、上谷にも聞いてみた。

「もちろん夢を見るよ。中野たむが出てきて、闘ってるんだよ。普段プロレスのことしか考えてないから。色々な攻防が夢に出てきて、良い技の切り返しをしていたら、夢から目が覚めた時にメモるんだよ。メモをしてからまた寝る。夢は全部カラーだよ。モノクロの夢なんか見ないな。普通に、現実と同じで見ているままの感じ。夢は途切れ途切れで、試合は決着には至らない」

「もし、中野たむに負けたら?」上谷沙弥の答えは…

 3月3日、後楽園ホール。上谷は「敗者退団マッチ」で中野に勝利した後、リングを降りた中野をリングに呼び戻して「引退」の言葉を引き出した。だが、さらに上谷自身も「引退をかける」と口にしてしまった。

【次ページ】 「まっすぐでバカ正直」上谷沙弥のプロレス愛

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