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「自分の野球観がぶっ壊れるんです」日本ハム・新庄剛志監督が松本剛に伝授した“ハイレベルすぎる助言”「バッターが打つ前に動けたら強いよね」

posted2025/04/19 11:13

 
「自分の野球観がぶっ壊れるんです」日本ハム・新庄剛志監督が松本剛に伝授した“ハイレベルすぎる助言”「バッターが打つ前に動けたら強いよね」<Number Web> photograph by SANKEI SHIMUBUN

ホーム最終戦セレモニーで笑顔をみせる新庄剛志監督と選手会長の松本剛

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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SANKEI SHIMUBUN

 松本剛が守るセンターは新庄野球のカギとなるポジションだ。かつての名センター、新庄監督は、このポジションだからこそ見えるものがあると考えている。そして松本が監督から学んだ外野守備の極意とは――。<全3回の2回目/第3回へ続く>

だれもが驚く奇策「あるかもしれん…」

 松本剛には印象深い試合がある。

 24年8月14日のマリーンズ戦。2回、相手失策で1点を勝ち越し、無死二、三塁と好機がつづく。伏見寅威に出たサインは初球スクイズだった。そつなく決めて1点を加え、なおも1死三塁。マウンドのC.C.メルセデスが初球を投じた。その瞬間、打席の水野達稀が再びバントの構えをみせて投手の前に転がした。2者連続スクイズを敢行し、成功させたのだ。だれもが驚く奇策で、たった2球で2点を奪う早業にマリーンズベンチは呆気にとられるしかなかった。だが、このとき、ネクストバッターズサークルで出番を待つ松本剛は打席に向かう水野の背中を見送りながら、ある予感にとらわれた。

「2者連続スクイズ、あるかもしれん……」

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 勘は的中した。激しく2位を争うマリーンズに与えたダメージは大きかった。この回を境に相手打線は沈黙して完勝し、この日を境にマリーンズを逆転して2位に浮上。その後は最後まで一度も2位を譲らず、エスコンフィールドで初のCS開催にこぎつけた。

 松本剛はあの場面を振り返る。

「普通は2者連続でスクイズのサインが出たとき、『うわ、スクイズ出たよ』と、ちょっと気持ちが差し込まれるものですが、きっちり決まったのは、新庄さんが3年間かけて選手に植えつけてきたことの成果だと思うんです」

「外野手出身監督に名監督なし」という定説

 プロ野球には長い歴史のなかで、いろんな定説が生まれてきた。

『外野手出身監督に名監督なし』

 この格言を新庄が自らのインスタグラムで引用したのは21年秋、新監督に就いた翌日のことである。このフレーズを唱えていたのは皮肉にも、かつてタイガース時代の監督で恩師のひとりである野村克也だった。新庄はこう投稿した。

《ほぉ~ 実に面白い》

 文末にニッコリと笑う絵文字を添えた。

【次ページ】 新庄からの問いかけ「センターから見てどう?」

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