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ドーピング選手に負けて人生が激変。
ソチでは日本選手も被害、平昌では?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2018/01/15 11:00
2大会連続五輪入賞の夢はならなかった辻。ロシアのドーピング問題は、各国アスリートにも影響する。
もしドーピング問題が早く発覚していたら……。
この発表が一段落ついたころ、ソチ五輪のドーピング検体の再検査でさらに11選手に永久追放処分が下され、ソチ五輪に出場したロシア選手で処分を受けた選手数は43人になり、13個のメダルが剥奪されている。
新たに処分を受けたロシア選手たちの種目や順位、その結果、順位が繰り上がった選手の名前やこれまでの実績などを見ていると、やるせない気持ちになる。
今回ドーピングが発覚したロシア選手は、ソチ五輪クロスカントリースキーのチームスプリント決勝で2番になっている。このレースは予選、決勝とラウンド制で行われ、彼らは準決勝で2位通過したが、準決勝で同じ2組だった日本の恩田祐一と宮沢大志組は7位、全体11番で、上位10チームが進む決勝にいくことができなかった。
ロシアのドーピングが大会前や予選直後に発覚していたら……彼らは決勝進出していたことになる。
スピードスケート辻麻希は入賞に繰り上がったが。
スピードスケートの女子500mでも日本選手が大きな影響を受けている。ソチ五輪で同種目2番だったロシア選手のドーピングが発覚し、日本の小平奈緒が5位から4位に、辻麻希が9位から8位に、住吉都が14位から13位にそれぞれ繰り上がっている。辻麻希は4年越しで入賞を手に入れたことになる。
しかし辻は先日行われた代表選考会で4位に終わり、2大会連続の五輪出場の道は無くなってしまった。五輪の舞台で再びの入賞を狙うことができなくなった悔しさを想像するのは難くない。
五輪で戦っている彼らにとって、ファイナリスト、入賞者という肩書きはハード、ソフト面で大きな意味を持つ。繰り上がった1つの順位で運命やその後の人生が大きく変わることも、連盟やスポンサーの評価方法やサポート体制が変わることもあるだろう。