話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
川崎相手にシュート1本だけの現実。
ガンバのDNA、未来は見えているか。
posted2017/11/22 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
こうも立場が変わるものだろうか。
11月18日に等々力陸上競技場で行われた第32節・川崎フロンターレ戦でのことだ。ガンバ大阪はシュート25本を浴び、0-1で敗れた。スコアだけ見れば僅差だが、この試合のガンバのポゼッション率は38%。相手に60%以上ボールを握られて、ほぼハーフコートマッチの展開に。ガンバのシュートはわずか1本だけだった。
川崎が披露したパスサッカーは、かつてガンバが追求したスタイルでもある。
ボールを回すことで相手の体力を奪いつつ、緩急をつけたパスで打開していく。相手を翻弄して、もてあそぶような戦い方はガンバの真骨頂だった。しかし、この日のガンバは川崎の鋭い出足にもたついてボールを奪われる。相手をかわしたり、いなす余裕すらなかった。
試合後、長谷川健太監督は「今日は勝つ可能性がほとんどなかった」とぼやいたが、長らくガンバの試合を取材してきて、これほど一方的な展開となった試合は観たことがない。早くに監督交代が発表され、優勝争いもなく、ACLにも届かない順位。モチベーションを上げようにも難しいことは容易に理解できるが、それにしても屈辱的な内容である。
リーグ初優勝、ACL制覇を成し遂げた超攻撃スタイル。
今からさかのぼること12年前、2005年のリーグ戦最終節。ガンバは同じ等々力で川崎に打ち勝ってリーグ初優勝を果たしたのだが、あの時から立場は完全に逆転し、チーム力は当時と比べて大きく開いてしまった。
ガンバらしい攻撃的サッカーは、どこにいってしまったのか。
ガンバは、リーグ初優勝後も、2008年にはACL制覇を達成。2000年代中盤から後半にかけて黄金期を迎えた。“3点取られても4点もぎ取って勝つ”を地で行くような戦いぶりはファンから喝采を浴びたが、その一方で冷ややかな視線も向けられていた。
攻撃的で面白いけど勝てないサッカーだ、と。