ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
ゴルフボールの軌道を色付けした男。
「米のプロゴルフ成功の理由は……」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byShotVision
posted2017/11/21 07:00
空中を飛ぶボールの軌道は、把握が難しい。トレースして弾道を描くことは、ゴルフという競技の魅力を驚くほど増加させる。
米ツアーが取り組む、パットの軌道を見せるサービス。
米国のツアー会場は昨シーズン、グリーン周辺に複数台の無人カメラを設けてテストを繰り返している。これ駆使すると、選手がパットをしたボールが“どう転がったか”を曲線で示すことが可能になるという。
ツアーの公式ホームページは、全選手のボールの軌跡を追うショットリンク・システムを導入しており、ファンはプレーヤーがショットをした場所と飛距離を知ることができる。試合会場では各ホールで待機しているボランティアスタッフたちが、静止したボールの位置をレーザーで計測し、その都度オンラインで記録。上記のシステムが加わると、「どこから打ったか」に加えて、「ボールがどう動いたか」も把握できるわけだ。
「スピースは右へ、左へと曲がるラインを読んで、こんなに長いパットを入れたのか」、「マキロイが短いパットを外したのは、すごく曲がるラインだったからなのか」といった具合にである。
ひょっとすると将来的に、さらに進化して空中のボールまで計測、記録され、そこにVR技術なども加わったら…もはや家で生観戦の気分を味わえそうだ(妄想です)。
自分のショットデータを計測できる練習場も。
もうひとつ興味深いのは、トップトレーサー社をグループ傘下に収めた欧米ゴルフ練習場施設運営会社の動きだ。トップゴルフ社は街中での練習に来場する一般ゴルファーのショットデータを計測し、手軽に閲覧できるシステムを展開しているという。
計測された自分のショットの“質”をスマートフォンのアプリで確認して向上に役立てられる。場内にいた他のゴルファーの飛距離などの計測データを集めた“リーダーボード”などもあり、友人とゲーム感覚で競い合う楽しみ方もある。
なにせツアープロと一般ゴルファーが同じシステムを使用し、データを比較することで、プロのスゴさも明確になる。プロとアマチュアとが同じフィールドでプレーすることができる、ゴルフというスポーツ独自の魅力を感じるには、実に有効だ。