ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER

ゴルフボールの軌道を色付けした男。
「米のプロゴルフ成功の理由は……」 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byShotVision

posted2017/11/21 07:00

ゴルフボールの軌道を色付けした男。「米のプロゴルフ成功の理由は……」<Number Web> photograph by ShotVision

空中を飛ぶボールの軌道は、把握が難しい。トレースして弾道を描くことは、ゴルフという競技の魅力を驚くほど増加させる。

誤差わずか0.77秒で飛んでいくボールを描画する。

 視聴者を視覚的にサポートするこのシステムが導入されたのはおよそ10年前。PGAツアーの中継で使用されていたものを、その後日本のテレビ各局が採用するようになった。スウェーデン発祥、トップトレーサー社の「トップトレーサー」は、飛んでいくボールをカメラフレーム内で2次元で動体認識し、線にして映像に出力する。実際のショットとの誤差はわずか0.77秒。ほぼライブで放送にのせることができる。

 弾道計測器として知られる「トラックマン」(こちらはデンマークで生まれた)も、異なるシステムから同様のサービスを展開しており、昨今は国内外の中継で両機器がしのぎを削っている。

 ショット軌道を映像化するだけでなく、ヘッドスピードなどのスイング要素や、ボールスピード、スピン量といった打球そのものを解析し、一瞬のうちにデータ化。ひとつひとつのショットに、人の目には見えない分野の情報を肉付けして、視聴者に提供している。

日本に導入した第一人者・森昇平。

「トップトレーサー」システムを日本で導入した第一人者が、現在、株式会社ショットビジョンの代表取締役を務める森昇平氏である。

 2000年代初頭に三菱電機グループの映像機器関連会社でこのゴルフ業界に携わり、独立。FOXが全米オープンの放映権を取得した2015年以降、現地にも赴いている。現在世界で配信されている映像には、日本人スタッフの力も注がれているわけだ。

 映像はもとより、それをより有益なものにする情報技術の面において今後、世界ではプロゴルフの魅力をどう発信していくのか。同氏の話で見えてくるところがある。

 最近のテレビ中継では、カップからボールまでの距離だけでなく、グリーン面に濃淡をつける映像処理を施して傾斜を分かりやすくする技術があるが、最高峰のPGAツアーでは近い将来、新しいシステムがお披露目になりそうだ。

【次ページ】 米ツアーが取り組む、パットの軌道を見せるサービス。

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