藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
「麻也のタフさとクレバーさは不可欠」
藤田俊哉がプレミアで見たその成長。
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph byToshiya Fujita
posted2017/11/02 10:30
ストーク戦を観戦した藤田氏。現地で強化担当しているからこそ、吉田の選手としての価値を実感したという。
麻也はイングランド国内での評価も高まっている。
これはVVVフェンロ(オランダ)で経験したことだが、冬のチャンピオンになれば必然的に他のクラブから戦力を引き抜かれることがある。その後は戦力ダウンを強いられてチームを再構築しなければならず、後半戦のスタートにも影響が出てしまい、かなりバタバタしたことがあった。それまでは移籍マーケットを戦力アップの意味合いでしか考えていなかったが、その意識を大きく変える経験をした。
選手の契約に関して、こちらではシーズン中に新たに契約見直しのサインをしたというニュースが流れる。吉田麻也(サウサンプトン)も8月に再契約をしたと報じられた。プレミアリーグにおいて、2度目の契約更新に至った日本人選手は彼が初めてだという。最近の日本代表では、長谷部誠に変わりキャプテンマークを付けてプレーすることもある彼だが、イングランドでの評価も着実に高まっている。
観戦したストーク戦、スーパーボレーは圧巻だった。
先日ストーク・シティー対サウサンプトン戦をスタジアム観戦した。久しぶりにスタジアムで見た麻也のプレーは、とても安定したもので逞しく見えた。ここ数年の彼は、ほんとうに熾烈なポジション争いを続けている。そのなかで勝ち得たスタメン。そのプレーに貫禄も感じられた。同点ゴールとなるスーパーボレーシュートは圧巻だった。
そのような素晴らしいパフォーマンスの彼でも、気が抜けないポジション争いが今後も続く。移籍騒動や怪我でチームへの合流が2カ月以上遅れていた守備の要、ファンダイク(オランダ)はこの日からスタメン復帰となった。
その実力は間違いなく世界最高峰だと一瞬で感じさせてくれるもので、桁違いで際立っていた。
しばらくはこの2人がサウサンプトンのCBとしてスタメンに名を連ねることになるだろうが、バックアップメンバーにはジャック・スティーブンス(イングランド)、ウェズレイ・フート(オランダ代表)ら若くて有望な選手が控えているだけに、一瞬たりとも気は抜けない。クラブは彼らに相当な金額を用意し獲得しているし、彼らをより大きな選手に育てるビジョンもあるからだ。
これだけの活躍、クラブで長年の実績を持つ麻也は、今でも超過激なポジション争いのなかに身をおき、毎日成長を続けている。