藤田俊哉の日欧蹴球比較論BACK NUMBER
「麻也のタフさとクレバーさは不可欠」
藤田俊哉がプレミアで見たその成長。
posted2017/11/02 10:30
text by
藤田俊哉Toshiya Fujita
photograph by
Toshiya Fujita
2017-18シーズンより、オランダのVVVフェンロからイングランドのリーズ・ユナイテッドに活動の場を移した。新オーナーを迎え大きく変わろうとしているクラブの中で、私は 「Head of Football Development in Asia」という肩書でプレミアリーグ昇格に向け、チームの強化とアジアのマーケティングを主な仕事として毎日を過ごしている。
昇格を目指しているリーズ・ユナイテッドは、開幕より好調を維持して上位をキープしてきたが、3連敗からリーグ戦の順位を4位まで下げてしまった。首位対決を制し勢いをつけたいところだった第10節のカーディフ戦で完敗(1-3)。続く第12節のシェフィールド・ウェンズデー戦も敗戦(0-3)、第13節レディング(0-1)にも敗れて前半戦の山場といえる状況を迎えている。
第14節ブリストル・シティーには3-0で勝利し、なんとか連敗を3で止めた。上位争いを続けるためには首位との勝ち点差6をこれ以上離されては苦しい。
まずはゴールが奪えない状況を、トーマス・クリスチャンセン監督がどのように改善していくかに注目している。現役時代にバルセロナやスペイン代表でのプレー経験がある彼は、ボールポゼッションを重視するスタイルを好む。
しかしドイツ(ボーフムやハノーファー)でもプレーし、UAE(アルジャジーラ)やキプロス(アポエルやラルナカ)での指導経験もある。これら海外での豊富な経験からのアイディアで、国の文化やクラブの理念にフィットしたスタイルを構築してもらいたい。
変貌する日本代表のスタイルにも通じるものがある。
この点において、今の日本代表にも通じるものがあると私は考えている。
これまでの日本代表は、ボールポゼッションを重要視する攻撃スタイルでチームを強化してきた。だがハリルホジッチ監督を迎え、攻撃ではより速く前線に縦パスを送り、守備では一定のラインを引きそこから力強くプレッシャーをかけてボールを奪い、再び縦に速い攻撃に転じて得点を決めるというプレースタイルへ変わってきた。その結果として苦しい局面も迎えたが、それらをはね除けて予選を勝ち抜いた。
来年6月のロシアW杯での日本代表が、どんなメンバー構成で、どのようなフットボールを見せてくれるのか非常に楽しみである。今後さらに強化が進み、完成度の高いチームを構築し本大会で結果を残してもらいたい。