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浦和が敵地で“ずる賢く”得た1-1。
ACLで西川周作が思い出した充実感。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2017/09/29 12:30
マウリシオ、阿部ら守備陣と連係し、最少失点でしのぎ切った。西川らの奮闘は、敵地に駆けつけた浦和サポーターも納得のプレーだった。
「粘り強さが、自分たちの流れを生んだ」
時計の針が進むにしたがい、試合のイニシアチブは浦和が握っているように見えてくる。
「たとえ、失点してもアウェーゴールを奪って帰る」
済州戦での0-2、川崎戦での1-3という劣勢を、ホームでのセカンドレグで跳ね返した現実が、浦和の選手たちの強気な姿勢を支えているように思えた。
「みんな個で打開しようとしてくる相手に対して、1対1よりも2対1、3対1で対応する状況を作ったり、最後のところで体を張って止めてくれていた。そういう粘り強さというのが、自分たちの流れを生んだ。そうやってコースを限定してくれた部分も大きいし、自分自身と味方を信じながら慌てず、構えることができればと考えていた通りにできた」
西川は試合全体をそう振り返る。
「ポストに当たったりとか、相手のシュートミスもあったけど、そういう運も引き寄せないとこういう戦いは勝てない。ある程度、ずる賢く戦っていかなければアジアの戦いは勝ちあがっていけないと思うので。時間を使ったりしながら、1-1という最低限の結果にできた。
先に失点したとしても、追加点をやることがなければ、必ず流れというのは、引き寄せられるということはイメージしていましたし、ゴールキーパーとしては、流れが悪くても相手に、流れをやらないという仕事が、今日はある程度できたのかな。失点はしましたけど。結果として非常に、充実感を味わえました」
良い緊張感でプレーできたのは西川だけではなかった。
運が味方して失点を免れる試合もあれば、防ぎようのない失点や防げたはずの失点を重ねる不運な試合もある。愚問だと思いながらも、西川にその違いを訊いてみた。すると、この日出場したメンバーに触れて、こう続けた。
「今日はメンタル面で非常にリラックスしていた。そこまでガチガチにならない良い緊張感で試合に入れた。それは僕だけじゃなくて、後ろから見ていても、みんながそういう空気で、非常に守備のバランスも良かった。ACLに関しては、メンバーが固定されているわけでもないので、新しく入った選手が、なんとしても爪痕を残そうという気持ちでいる。今日だったら、長澤(和輝)選手が非常にいいプレーをしていたし、チームで戦えているという感じがすごくしている」