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浦和が敵地で“ずる賢く”得た1-1。
ACLで西川周作が思い出した充実感。
posted2017/09/29 12:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
「ピッチコンディションも考えたシュートだったと思うし、なんとしても止めたかったですけど。今度こそはという思いです」
9月27日のACL準決勝、上海上港対浦和レッズのファーストレグ。前半15分、フッキの力強いドリブル突破からのミドルシュートで上海が先制点をマーク。西川周作はその失点シーンをこう振り返った。
浦和はACL決勝トーナメント1回戦・済州戦、準々決勝・川崎戦のファーストレグでともに先制点、追加点を立て続けに許していたが、この日は違った。20分にエウケソンのシュートを西川が右手1本でクリアしてから、浦和の攻勢が始まった。そして27分、青木拓矢のパスを受けた興梠慎三がボールを落とし、柏木陽介のダイレクトシュートがゴールネットを揺らし、早々に同点に追いつく。
その後、浦和はクロスボールの対応で西川と味方DFが交錯したり、フッキやオスカルに際どいシュートを放たれる場面があったが、西川のファインセーブなどでしのいだ。
オスカルのポスト直撃FKにも動じなかった。
1-1で迎えた後半も同様だった。上海のシュートは何度もわずかに枠を外れ、西川のセーブも光った。
ブラジル代表クラスの攻撃陣を揃えた上海に対して、浦和は4バックで対応する。特に槙野智章が執拗なマンマークでフッキを苛立たせた。それを嫌ってかフッキは中央にポジションを移したが、左サイドバックの槙野はそのままマークし続けるほどの念の入れようだった。
上海の猛攻を受ける時間帯は少なくはなかったが、この日の浦和は動じることがなかった。高い個人技で抜かれたとしても、他の選手が慌てることなく対応できていたように思う。何よりも最後の砦、西川がゴール前で立ちはだかっていた。
後半最大のピンチは69分、オスカルのFKがポストに直撃したシーンだった。この際、西川は一歩も動かなかった。動けなかったと見ることもできるが、この日の西川なら“外れる”と読んだのかもしれない。そう感じさせるほど、西川は波に乗っていた。