GKとして手堅いプレーで作った“見せ場”。

　今季の西川は、昨季までの安定感を欠くプレーが目立った。特に代表から外れてからは、自身の持ち味、たとえば飛び出しの良さを意識しすぎるあまりか、その得意なプレーでの失態が少なくなかった。

　この日の上海戦では、DF陣が深く守っていたこともあり、ペナルティエリアの外へ出るシーンはほとんどなかったが、シュートに対する反応の良さや手堅いセーブで、GKに求められる一般的なイメージの“見せ場”を多く作った。その安定感が味方を安心させた部分もあっただろう。しかし、西川も語ったようにチームメイトのプレーが、西川の好セーブを生んだ部分もあったに違いない。

昨季チャンピオンシップでの苦い思い出。

　過去2試合と対照的に、準決勝セカンドレグは浦和有利の状況で迎える。西川は「メンタルの戦い」だと話す。

「次の試合では、相手は点を獲らないといけない。ここからはメンタルだと思うんです。守りに入っちゃうと、どうしてもそれを意識しすぎるサッカーになり、失点をしてしまう。今日の第1戦のことはあんまり考えずに、いつも通りできるかどうか？　そこは自分たち次第だと思うので、どんな状況でもメンタルをいい状態にすれば、いいプレーができるんじゃないかなと思います。

　去年のチャンピオンシップでもそうですけど、有利な立場よりも追いかける立場のほうがメンタルを作りやすいと思うんです。もちろん追われる立場であっても勝たなくちゃいけないし、勝たないと成長はしていかないと思います。自分たちにとっての課題だと思いますが、追われている立場でも勝てるチームになりたい」

　西川の言葉を聞くと今季の浦和の不安定さは、昨季チャンピオンシップの敗戦が原因となって続いているのかもしれないと改めて思った。絶対有利という前評判を得ながらも、結果は周知のとおりである。その時の苦渋を完全に拭いきれる機会がないだけに、崩れそうになったとき、それを食い止めることができない。

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