「久しぶりに試合が終わって、充実感があった」

　打ち消せない不安が弱気となって現れる。苦境を跳ね返せないチーム状態を打開したいと思いながらも、それを1人で成し遂げることは難しい。自身もその一因を担っているという思いが強くなればなるだけ、西川もまた負の連鎖から抜け出せずにいたのだろう。

「最低限の結果」と選手誰もが口にしたが、その表情は明るかった。しかし、これで浦和が、そして西川が復調したとはまだ言い切れない。

　それでも堀孝史監督、そして長澤や高木俊幸、遠藤航や青木、武藤雄樹といった若手から中堅にしても、そして日本代表で経験を積んだ阿部勇樹や槙野、西川、ベテランの域に入った興梠や柏木にとっても、ACLを勝ち抜く経験は大きい。こんな試合をやりたいとJリーグでプレーする誰もが、指揮を執るすべての監督が願っているのだから。

「久しぶりに試合が終わったときに充実感を感じることができた。これを続けていかなければ意味がない」

　西川がしっかりとした口調で繰り返したのは継続だった。

　まずは決勝進出を果たすことで、自分たちの中にある弱気を払しょくしてほしい。