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なぜ日本はクライミング強豪国に?
500軒に迫るジムと、その工夫とは。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2017/09/18 08:00

なぜ日本はクライミング強豪国に?500軒に迫るジムと、その工夫とは。<Number Web> photograph by AFLO

日本のクライミング界を引っ張ってきた野口啓代。彼女を追う形で、下の世代の台頭も続いている。

日本のジムは、登るための突起物が多い?

 その中にあっても、クライミングにとことん打ち込み、ジムを開くことでトレーニングの場を作りたい、魅力を広めたいという熱心なクライマーたちがいた。趣味として始めてみて、その魅力にはまってジムの経営に乗り出した人々もいて、ジムは急速に増えていった。

 ジムが増えるにつれ、始めてみる子供たちも増加。そこでレッスンを受けながら成長する若い世代も次々に現れた。

 また、ジムの特徴も、選手の育成につながっている。海外に比べると、日本のジムは壁一面にびっしりとホールドが付けられているところが多い。ホールドとは、登るために指や足をかける突起物だが、色とりどりのホールドが無数と言っていいほど並んでいる傾向がある。

ジムのサイズ問題を解決した創意工夫。

 それだけたくさん取り付けているのは、少ない壁面で様々な課題をすぐに設定できるようにするための工夫だという。

 初心者からすると、ぱっと見たとき、どのホールドから登っていけばいいのか複雑きわまりないが、その仕様によって多数の課題にすぐに取り組める、適応する力をつけることができるという特徴がある。敷地の都合から、ジムのスペースが大きく取りにくいことで生まれた特色だろう。スペースの点は、設置する壁の高さをより求められ、サポートする人の必要なリードよりボルダリングが盛んとなった理由でもある。

 さらに、野口啓代らがそうであるように、自宅に壁を設置し練習に励む選手たちもいた。こうした草の根での取り組み、下からの押上が日本の強さとなっている。広がりを見せる中で、選手個々に対して支援するスポンサーの存在が出てきたことも、成績の向上へと寄与してきた。

【次ページ】 全体のレベルは上がったが、優勝回数は減少。

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