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なぜ日本はクライミング強豪国に?
500軒に迫るジムと、その工夫とは。
posted2017/09/18 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
あらためて、日本が強豪国であることを示したシーズンだった。
スポーツクライミング3種目のうちの1つ、ボルダリングは8月にワールドカップの第7戦がミュンヘンで行なわれ、先シーズンのワールドカップは終了。日本は国別ランキングで、4年連続1位に輝いた。
このランキングは各大会ごとの、各国上位3人の選手のポイントを合計して順位付けるものだ。日本は2118ポイント、2位のイギリスは929ポイントだから、圧倒的な強さを誇ったことが数字に表れている。ランキングは男女の成績を合わせた数字だから、男女ともに好成績であったことも示している。
また9月10日に終了した世界ユース選手権では、全種目を合わせて金メダル8個を含め計24個のメダルを獲得。国別のメダル総数で1位となった。2位のアメリカが金メダル5個を含む計14個だから、日本の強さをあらためて見せつけた大会となった。
いまや500軒に迫るボルダリングジム。
こうした好成績の核となっているのが、ボルダリングでの強さだ。
ではなぜ、日本のボルダリングは強くなったのか。
かねてから言われてきたのは、日本の選手の体型が向いているということだが、ここでは別の側面から見たい。
大きな要因は、ボルダリングに取り組むことができるジムの増加だ。
2000年頃には全国で数十軒であったのが、2000年代後半に100軒を超えた。その後も増え続け、今日では500軒に迫ると言われている。
かつては国際大会に出場するクラスであっても、練習場所を求めて苦労する選手もいたし、始めてみたいと思っても近隣にないことから、やってみること自体が「遠征」になったりあきらめてしまう人もいて、普及という点でも環境が整っていたとは言いがたかった。