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稲葉篤紀監督を支える体制は万全か?
サムライJ、責任の所在無きままの船出。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySAMURAI JAPAN via Getty Images
posted2017/08/11 11:30
代表監督就任の記者会見場にて。左から、「侍ジャパン強化委員会」井原敦委員長、稲葉篤紀新監督、日本野球協議会の熊崎勝彦会長、「侍ジャパン強化委員会」の山中正竹副委員長。
五輪はベンチ入りできるコーチが少ないという問題が。
現時点では稲葉監督と親交があり、同年代の日本ハムの金子誠打撃コーチや同じく日本ハム時代の同僚で米大リーグ、テキサス・レンジャーズなどでプレー経験のある建山義紀氏などの名前が取り沙汰されているが、いずれも代表でのコーチ経験はない。
五輪の場合はベンチ入りできるコーチはヘッド格を含めて投手、野手を担当する3人だけ。そのため1人のコーチの役割が重要で、より多角的な仕事が求められることになる。
特に投手コーチはブルペン担当もおらず、過去の大会でも継投の準備やタイミングで様々な苦労があった。それだけにコーチ経験のない建山氏の名前が出ていることを疑問視する声が過去の五輪コーチ経験者などから上がっているのも事実である。
強化本部がほとんど機能しないままでの船出に。
五輪の場合は海外組の招集はなさそうなので、チーム編成にはGM的な役割が必要不可欠というわけではないかもしれない。
ただ、コーチ人事1つをとってみても、監督と綿密に話し合い、客観的な意見を出し合って、責任を持って調整する役割の人間が現時点でいない。
組織的には強化本部がその役割を担うはずだが、そこが全く機能しないままの船出となってしまっているわけである。
東京五輪は参加6チームで、しかもWBCのようにメジャー組は参加しない予定という。
おそらく本大会に出てきても米国は3Aクラスの選手が主体だ。
そこに韓国やオーストラリア、台湾などのアジア勢、キューバを含めた中南米のチームとオランダ等が絡んで金メダルを争う形になるようなら、日本も国内組のトップ選手を集めた代表チームとなるところは'15年のプレミア12とほぼ同じである。