プロ野球亭日乗BACK NUMBER
稲葉篤紀監督を支える体制は万全か?
サムライJ、責任の所在無きままの船出。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySAMURAI JAPAN via Getty Images
posted2017/08/11 11:30
代表監督就任の記者会見場にて。左から、「侍ジャパン強化委員会」井原敦委員長、稲葉篤紀新監督、日本野球協議会の熊崎勝彦会長、「侍ジャパン強化委員会」の山中正竹副委員長。
プレミア12敗退の反省から、強化本部が設置された。
2015年のプレミア12で優勝を逃した直後に、問題になったのが日本野球機構(NPB)にはサッカーの技術委員会のように、監督を選任し、その監督のチーム作りを支援すると同時に結果評価をする組織がないことだった。
プレミア12の敗北で、当時にわかに小久保監督の指導力に疑問の声が湧き上がったのは事実だ。だが、当時から侍ジャパン強化委員会(井原敦委員長)はあったが、そもそも代表監督をどこがどういう経緯で任免するのかがはっきりしていなかった。おのずと同委員会では監督の評価をすることもなかったわけである。
しかもWBCの本大会が迫り、国内組はともかく、海外メジャー組の招集などでは本人との交渉はほぼ監督任せだった。
結果的にメジャー組から投手の参加はなく、ヒューストン・アストロズの青木宣親外野手(現トロント・ブルージェイズ)しか呼べなかった。
所属チームや代理人にしっかり根回しをして、責任を持ってチーム作りを支援する。そういうGM的な役割を担う部門と責任者がいなかったことは、今後の大きな課題として指摘されてきたことである。
そのために3月のWBC後に、侍ジャパン強化委員会の中に強化本部を設置するなど組織的な形は整えたが、結果的には全く機能していないのが実情なのである。
監督は決まったが……。
稲葉監督の選任でも歴代監督のヒアリング後に強化委員会の幹事会で井原委員長(NPB事務局長)と山中正竹副委員長(全日本野球協会副会長)に一任され、決定過程は不透明なままだった。その結果、最終的にオープンな話し合いも持たれないままに決定されている。
また監督をサポートするために設置された強化本部は本部長に山中副委員長が就任することは発表されたが、実際に現場を仕切る副本部長2人は決まっていない。
監督は決まったが、差し迫った問題としてはコーチ人事をどうするかという問題がある。