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稲葉篤紀監督を支える体制は万全か?
サムライJ、責任の所在無きままの船出。
posted2017/08/11 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SAMURAI JAPAN via Getty Images
2020年の東京五輪に向けて野球の日本代表、侍ジャパンの稲葉篤紀監督が始動した。
「3年後の東京五輪は国をあげての大会。野球が復活するということで、しっかりと金メダルを取りたい」
7月31日の就任会見でこう語った稲葉新監督の強みは、国際経験が豊富なことである。
現役選手としては法大時代の1993、'94年と2年連続で日米大学選手権に出場したのをスタートに、プロ入り後には2007年の北京五輪アジア最終予選で代表入りし、翌'08年の本大会にも出場。'09年には第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で4番を任され、'13年のWBCにも出場した。
また、現役時代から'13年の親善試合などでもコーチに就任しており、引退後には'15年の欧州選抜チームとの強化試合で小久保裕紀監督率いる侍ジャパンの打撃コーチにそのまま就任。その後も、同監督と二人三脚で'17年3月の第4回大会までチームを切り盛りしてきた経験がある。
おそらく現在のプロ野球関係者ではトップクラスの国際試合の経験を持っている人物と言える訳である。
しかも本人が「私自身は北京五輪でメダルを取れずに帰ってきた。リベンジしたいという気持ちがずっとあった」と語るように、WBCとは一味もふた味も違う五輪独特の重苦しい雰囲気を経験してもいる。
その経験値の高さが、稲葉監督に白羽の矢がたった大きなポイントだった。
稲葉監督をバックアップするフロント体制はどうか?
「とにかく金メダルを取ることしか頭にない」
こう語った新監督の初陣は11月に行われるアジアプロ野球チャンピオンシップ(11月16日~、東京ドーム)となる。まずはその戦いをファンを含めた我々は見守るしかないが、そこまでにもう1つ、大事なことがあるのだ。
それは稲葉監督をバックアップし、場合によってはきちっと評価できるフロント体制の確立である。