バスケットボールPRESSBACK NUMBER
日本バスケはアルゼンチンに学べ。
技術委員長が語る新監督と強化策。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/06/25 07:00
八村塁の帰国会見にも出席した東野氏。日本バスケ強化について、独特のアプローチで挑もうとしている。
Bリーグにわずか2人しかいない「スキルコーチ」。
昨年12月からは、Bリーグのシーズン中ながら月に1~2回のペースで重点強化合宿を行なってきた。シーズン中に代表につながる強化活動をすることはこれまではなかったことだ。選手たちにはラマス氏が来ても変わらないような、世界基準のベーシックなものを植え付けるのだという説明があった。
――現在の代表の『強化』についてはどう考えているのでしょう?
「私がかかげたのは、日常を世界基準にすること。そのためにはBリーグが競争力を持たないといけない。そのために昨年12月からの合宿でも、選手たちが世界レベルに触れられるようにすることを意識しました。あと、代表にスキルコーチを入れたんですよ。Bリーグにはプロのスキルコーチは2人しかいないんですけど……」
――スキルコーチの仕事とは?
「細かいドリブルの技術、シュートのアプローチにしても、過去の映像から成功率などの数字も全て提示して、選手がレベルアップするためにアプローチしていく。それがスキルコーチの仕事です」
カリーの活躍で重要性は一目瞭然だが……。
――スキルコーチは海外では一般的なのでしょうか?
「NBAのチームには必ずいます」
――では、今までないがしろにされてきたのは何故なのでしょう?
「もちろん、雇うためのお金の問題もあったでしょうし……。チーム練習の前や後の、個別の練習が、非常に大切なんです。女子はけっこうやっているんですけど、男子の場合は女子と比較して絶対量が足りませんでした 。私は合計5年間、代表のアシスタントコーチをやっていたので、以前からそれは感じていました。今季、そのような活動にも力を入れたので、 シーズンの途中からどんどん良くなった選手も多いと感じています。代表で得たものをヒントに自分でさらに磨きをかけたからだと思うんです。彼らが成長したのは、日常を世界基準にするんだ、というようなことを選手たちが身を持って感じ取ってくれて、やってくれているからだと思います」
――スキルの重要さについては、NBAチャンピオンのゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーなどを見れば一目瞭然ですよね?
「そうです。日本人のレベルアップを考えたときに、いきなり身長を伸ばすことは出来ないし、ジャンプ力をあげるのも簡単にはいかない。
でも、技術を磨くような作業って、そもそも日本人が得意としていることじゃないですか? それならば、バスケットの技術だって、もっと磨いていいんじゃないか、と」