マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
清宮幸太郎の通算100号達成に思う。
もっと大事な数字があるだろう……。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/06/18 09:00
甲子園と、高校のグラウンド。同じ1本のホームランでも飛距離、そして人々に与えるインパクトは大きく違う。
「野球は点取りゲーム」という原点に立ち返れば。
ホームランは派手で華やかで、お手柄感も達成感も、とてもわかりやすく実感できるものである。ただちょっと頭を冷やして考えてみて、「野球は点取りゲーム」だという原点に立ち返ってみれば、ホームランよりもこの数字の方が大事だろう……。そんな成績があるのではないか。
野球は点取りゲームなのだから、塁に出て、ホームにいかに還ってくるか、そしていかに還すのかが問われる。
ならば、気にするべきは、まず「出塁率」だ。
ヒットじゃなくても、四死球、エラー、フィルダースチョイス……。打撃妨害も出塁に入れてもよいのか? ルール上は違うのかもしれないが“個人的な出塁率”として計算するなら入れてしまおう。
プロ野球なら、打撃10傑に名を連ねる選手の出塁率は3割5分から4割前半。アマチュアだったら、ちょい高みを目ざして4割の線を狙おう。
ただ出塁しても、ホームに戻さないと点にならない。
勝利につながる「打点率」にもこだわろう。
野球は、ヒット数以上に打点数が勝利に直結する。ならば「打点率」にもこだわろう。
もちろんタイムリーヒットじゃなくても、犠牲フライでも、内野ゴロの間に1点でも、なんでも構わない。
“打点率”は、打点を試合数で割ることにする。つまり、1試合当たり何打点を挙げたのか。30試合で55打点なら、打点率1.83。つまり「オレは1試合当たりほぼ2打点を挙げている」と考えられる。
それが「よくやった!」のか、「オレってまだまだ……」なのかは、選手それぞれの自己評価と意欲に任せることにしよう。
出塁率と打点率。
実は、これまでずっと注目されてきた本塁打数と打率より、もっと直接的にゲームの勝敗に関わってくるはずの、この2つの数値。
少しずつでもよいから、選手たちがこだわるようになってくれば、選手たちの野球が今の何倍も面白くなってくるはずだ。