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ウォリアーズ優勝の裏に隠された、
各選手の“取り返したかったもの”。
posted2017/06/16 17:00
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph by
Joel Angel Juarez/Anadolu Agency/Getty Images
2016-'17NBAファイナルシリーズは、4勝1敗の成績でゴールデンステート・ウォリアーズがクリーブランド・キャバリアーズを下し王者に輝いて幕を閉じた。
優勝したウォリアーズの成績だけを見れば、'14-'15シーズン67勝(歴代7位タイ)、'15-'16シーズン73勝(歴代1位)、そして'16-'17シーズン67勝(歴代7位タイ)と3年間で207勝39敗(NBA史上3年連続期間の最高成績)とトップクラスだ。
73勝したチームにスーパースターのケビン・デュラントを加えたのだから、今年は、優勝して当たり前のようにも思える。しかし彼らが優勝に至るまでにはある共通の意外な「想い」があった。
その想いは“Redemption(失った宝を取り返す、雪辱を果たす)”だった。
王手をかけてから逆転優勝された史上初のチームに。
ご存知の通り、今年と同カードだった昨年のファイナル。有利だと言われていたウォリアーズは、序盤からキャバリアーズを圧倒。第4戦で早くも王手をかけ、あと1ゲーム勝って2年連続の王者に輝くだけだった。
メディアも彼ら本人も優勝は決まったも同然だと思った。
キャバリアーズが弱いからではなく、単純に誰もレギュラーシーズン73勝9敗の彼らが3連敗することが想像できなかったし、長いNBAファイナルの歴史上、1勝3敗からの3連勝で逆転優勝をしたチームはなかったからだ。
しかし悪夢は起こった。
レギュラーシーズン歴代最多勝利を記録した彼らは王者になれず、最高のシーズンはケチがついて終わった。
それからの1年間、彼らは輝かしい成績を残しながらも、歴史上初めて3勝1敗で王手をかけてから逆転優勝されたチームというレッテルが付いて回った。さらにケビン・デュラントが加入したことによって、NBA界のバランスさえも崩したと業界内からも批判が起きたのだ。
勝負の世界は厳しい。どんなに頑張っても勝者は1チームだけだ。特にNBAは優勝が全てとされ、2位以下は常に批判の的となる傾向がある。その逆に、結果さえ残せば、批判をしていたメディアや選手はその行動を謝罪し、相手を賞賛する。
だから彼らが批判ややっかみを黙らせる方法はひとつしかなかった。
そして優勝をかけた今回のファイナルで、ウォリアーズの面々の思い思いの雪辱の物語が垣間見えた。