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大学で第3GK、U-20正GKが感じた隙。
小島亨介に待つW杯後のギャップ。
posted2017/06/07 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO
U-20W杯、4試合で6失点。
この数字を見ると、日本の守備が世界相手に通じなかったと言われても、致し方がないだろう。無失点で切り抜けた1試合もなく、失点の多さが敗因に直結したのは間違いない。
「失点ははっきり言って多かった。悔しいです」
唯一の大学生として参加したGK小島亨介は4試合すべてにフル出場しただけに、その責任を人一倍感じている。
だがその責任はすべて彼にあるのかと言うと、決してそうではない。もし彼でなければ、さらに失点が増えただろうシーンが数多くあったからだ。特に初戦の南アフリカ戦、最後のベネズエラ戦のゴールキーピングは素晴らしく、日本の守護神に相応しい存在であった。
早稲田大学で第3GKに甘んじていた男が正守護神に。
小島にとって、このU-20W杯、U-20日本代表は“すべてをぶつける重要な場所”だった。
「僕はみんなと比べると、プロじゃないし、試合にも出ていない。でも、内山監督はずっと僕を呼んでくれた。すべてのモチベーションをぶつけていた」
小島は内山ジャパン立ち上げの2015年から常に代表に選ばれ続けた。一昨年10月のAFC U-19選手権予選(アジア1次予選)では1番を背負い、3試合中2試合に出場。いずれも完封勝利に導いた。そして、昨年11月のAFC U-19選手権(アジア最終予選)では、準決勝のベトナム戦以外の5試合にフル出場。無失点優勝に大きく貢献した。
その一方で所属する早稲田大学では、序列が落ちていた。小島が下級生の頃は後藤雅明(現・湘南)が正GKの座に君臨。なおかつ後藤の第2GKですらなく、3番手以降の存在だった。
1年時のリーグ戦出場機会はゼロ、昨年も僅かリーグ3試合出場で、ベンチ入りも片手で数えるほどに留まっていた。それでも内山監督は彼を代表に呼び続け、正GKとして使い続けたのだ。