“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-20ベネズエラの恐るべき目つき。
日本サッカーは「まだまだ甘い」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by7044/AFLO
posted2017/06/05 07:00
7月の試合で退任予定の内山監督は、ベネズエラ戦を「死闘だった」と表現。「選手たちを誇りに思います」とコメントした。
彼らの世代は、国際試合慣れしているはずが……。
今の育成年代は昔と比べても幼い頃から多くの海外遠征を行っているし、国際試合の経験も豊富だ。しかし、それはあくまで親善試合や小さな大会レベルでしかなく、年代別とは言えど、W杯などの「本気の」舞台とは大きく異なる。
MF市丸瑞希にその質問をぶつけてみると、「(U-20日本代表として)アルゼンチン遠征や、ドイツ遠征と経験してきたけど、やっぱりいざ本番になってくると、ウルグアイやベネズエラのレベルは全然違っていました」と答えていた。
今まで経験したことが無いような強度の中で、90分のゲームが何試合も続く――。
当然、試合を重ねれば重ねるほど経験したことの無いような疲労が溜まり、プレーのクオリティー維持が極端に難しくなる。
この「疲労困憊でプレーそのものが難しくなった」際の技術、状況判断、集中力……すべての要素の質が、まさしく「世界との差」であると筆者は考える。
ベネズエラ戦で露呈した、日本人の身体の弱さ。
育成世代における日本人選手の技術レベルは、世界と見比べても遜色ないレベルにある。だが、身体と頭が極端に疲弊した中で、同じように持っている技術を十全に発揮できるかというと、そこは世界の強国と比べて明らかに劣る。
それを明確に教えてくれたのがベネズエラ戦だ。
この試合、ベネズエラは2戦目終了時点でグループリーグ突破を決め、中3日でこの試合を迎えていた。一方で日本は最終戦までもつれ込み、さらに中2日でこの試合を迎えており、コンディションの違いは確かにあった。
しかし、日本はベネズエラ戦を含めてメンバーを頻繁に入れ替えており、フィールドプレーヤー全員が試合に出場していた。一方のベネズエラは日本戦を含めた4試合をほぼ固定したメンバーで戦い、4試合連続スタメン出場が実に9人にものぼっている。さらに細かく見てみると交代メンバーもほぼ同じで、4試合を16人で回しており、1人にかかっていた負荷は明らかに日本代表より高かったはずだった。
しかしベネズエラは、120分間を通して走力こそ落ちたものの、そのプレーのクオリティーは落ちなかった。