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ACLベスト8は浦和の“宿題”だった。
延長の戦い方と、引きすぎない勇気。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byAFLO
posted2017/06/01 11:25
0-2でファーストレグを終えた時、浦和のファンは「またか」と思ったことだろう。しかし、今年の彼らはひと味違うのだ。
アウェーゴールが生んだ、西川の“条件戦”。
コーナー付近でボールをキープし、時間を使う。ズラタンのフィジカルの強さを、自陣ではなく敵陣で活用した。そうして、消極的な姿勢を見せることなく時計の針を味方に付けた。
そこで相手が苛立って乱闘まがいの行為を仕掛け、ベンチからピッチに乱入した選手による退場者が出て後味の悪さが残ったのは残念だが、そうやって相手の焦りを誘った時点で、浦和の勝ちだった。
ホーム&アウェーのセカンドレグは、必ず両チームにとって“条件戦”になる。今季はアウェーで0-2の敗戦を喫して臨む状況だった。最低でも2-0の勝利が必要だが、90分の間に1失点すれば、4点取る必要に迫られる。その事実は、GKの西川周作には重く圧し掛かっていた。
「普段の試合より疲れました。気疲れですよ、本当に。今日は本当に90分(失点)ゼロじゃないと意味がないと。延長に入って、アウェーゴールがなくなって少し気が楽になったんですけど、それまではルール上、点を取られると厳しくなると思っていましたからね」
試合を終えた西川は、ホッとした表情で話した。
この日の1点は、3.5点分の重さがあった。
この日、90分間のゲームで喫する1失点は、3点より重く4点よりは軽い。ある意味で“3.5失点”と同じだけの意味があった。アウェーゴールとは、それだけ重たいものであるということだ。
それと同時に、ACLでは延長戦に入るとアウェーゴールが適用されなくなるという規定も、浦和の選手には身をもって理解できていた。なぜなら、昨年の浦和は90分でゴールを奪えず、延長戦に入ってからの2ゴールがアウェーゴールの恩恵を受けられなかったからだ。