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普通に戦えば「アジアのバルサ」。
川崎のACL8強、8戦無敗の必然性。
posted2017/05/31 16:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
5月30日に等々力競技場で行われたACLラウンド16の第2戦。
川崎フロンターレは、タイのムアントン・ユナイテッドに4-1で大勝。第1戦との合計スコアを7-2として、堂々の準々決勝進出を果たしている。
第1戦を3-1で勝利したことで2点のアドバンテージがあったとはいえ、簡単な試合になると考えている選手は皆無だった。例えば、ガンバ大阪時代にACLを経験している阿部浩之は、試合前にこう警戒している。
「2点差があるのでゲーム運びは楽になるが、油断をしてはいけない。気をつけたいのは試合の入り。前半や、立ち上がりに失点しないことだけは特に気をつけたい」
相手のムアントンからすると、アウェイゴールの関係で、2-0での勝利では勝ち上がれない状態だった。つまり、この第2戦では少なくとも3点を取ることが条件である。川崎としては、立ち上がりからアグレッシブに来る相手の攻め気を、どう逆手にとって試合を運んでいくのか。そこがゲームのポイントと言えた。
キックオフの時点で「大丈夫だな」と勝利を確信。
ところが、である。
キックオフの笛が鳴ると、川崎側の予想に反して、ムアントンが自陣に潔く構えてブロックを形成し始める。引いてカウンター狙いという意思表示をしたのである。
「相手が前からボールを奪いに来るのをいなして点を取ろうと思っていたが、まさか引いてくるとは思っていなかった」と苦笑いしたのは中村憲剛だ。「意表を突かれた」というよりは、「拍子抜けした」というのが正直なところかもしれない。
ただ相手の出方に応じて、試合運びを柔軟に変えられるのが今の川崎の強みでもある。「あの時点で大丈夫だなと思った」と振り返ったのは阿部だ。
「相手はカウンターしか狙っていない。だから、変なボールの取られ方をしなかったり、相手よりも切り替えが遅くなければ問題ないと思った。ボールも持てていたし、危なげない試合だったと思う」
ムアントンの奇襲はなく、川崎がボールを保持し、ゲームをコントロールしながら時計の針を進めていくという展開となった。