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今季のT-岡田は、責任感が全く違う。
「諦めることができない環境」とは? 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2017/05/30 08:00

今季のT-岡田は、責任感が全く違う。「諦めることができない環境」とは?<Number Web> photograph by Kyodo News

糸井嘉男が抜け、オリックス打線を引っ張る重責が増したT-岡田。その期待に応えるプレーを見せていると言えるだろう。

「バットを振ろうとしていた」という言葉の意味。

 点が入らず勝てなくなると、つなぐ意識よりも「自分が決めなければ」という意識が強くなり余計な力が入る。4月まで打率.351、7本塁打、15打点と打線を引っ張ったT-岡田も、5月前半はそんな状況に陥った。

「バットを振ろうとしていた」とT-岡田は振り返る。

“バットを振ろう”という意識は、T-岡田にとっては邪魔なものだ。振ろうとしなくても自然とバットが体についてくるのが理想だと言う。

 確かに、好調時のT-岡田は、見た目には軽くバットを振っているように見えるのに、打球はぐんぐん伸びてスタンドに届いてしまう。

「4月は、体の動きにバットがついてくるという感じがあった。でも点がなかなか入らなくなると、打とう打とうという意識が強くなって、自分の中でバットをしっかり振ろうという意識も出てきてしまった」

自力で不調を脱し、本塁打ランキング3位。

 それでも、自ら気づいて邪魔な意識を取り除き、修正した。5月3日に第9号を放ってから14試合本塁打が出ていなかったが、5月20日に10号が飛び出し、現在は12本でレアード(北海道日本ハム)、デスパイネ(福岡ソフトバンク)に次ぐ本塁打ランキング3位につけている。

「悪い状態は脱したかなと思う」と復調の手応えを語った。現状のチームの中で数少ない光明である。

 昨年までは、力が入り、考え過ぎ、ますます調子を落としてしまうという悪循環でファームに降格となることもあったが、今年は違う。若手が増えた一軍の中で選手会長を務める、そうした立場の違いによるところもあると、下山真二打撃コーチは指摘する。

「諦めることが絶対にできない環境に置かれたから、というのはあるんじゃないか。正直、まずい状態だなと思った時期もあったんですが、そこから自分で修復をかけて粘って粘って上がってきた。成長だと思いますね」

【次ページ】 後輩から見ても、優しさに厳しさが加わってきた。

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