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今季のT-岡田は、責任感が全く違う。
「諦めることができない環境」とは? 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2017/05/30 08:00

今季のT-岡田は、責任感が全く違う。「諦めることができない環境」とは?<Number Web> photograph by Kyodo News

糸井嘉男が抜け、オリックス打線を引っ張る重責が増したT-岡田。その期待に応えるプレーを見せていると言えるだろう。

後輩から見ても、優しさに厳しさが加わってきた。

 もともと後輩にとっては面倒見のいい兄貴分だったが、今年、若手選手たちはT-岡田の中に“優しさ”だけでなく“厳しさ”も感じ取っている。

 武田健吾は、「『隙を見せるな』とか、僕が1番を打っている時には『1番バッターだから誰よりも早く来て準備しろよ』ということを言われました。すごく引っ張ってくれています」と言う。

 駿太も、「今年は今まで以上にいろんなことを指摘してくれるし、チームのこともすごく考えてくれていると感じます。あまりよくない気持ちになっている人に合わせないというか、例えば落ち込んでいたり、やる気をなくしそうな人がいたら、それをしっかり止めるような一言を言ってくれる」と語る。

22歳で本塁打王になるものの、期待に応えられない日々。

 連敗が続く中、T-岡田は野手陣に声をかけて決起集会を開くなど、なんとか流れを変えようともがいてきた。

「1人1人がより強い気持ちを持っていかなきゃいけない。実際、4月は開幕3連敗してから盛り返すことができたんだから。その時にはいて、今いない選手もいるけど、だからこそみんなで助け合うことが必要だと思う」とチーム一丸を強調する。

 T-岡田は、22歳だった2010年に本塁打王に輝いた。

 地元・大阪出身ということもあり、チームの顔になった。しかしその後は怪我や不振に悩むことが多かった。

 歴代の監督は、チームを引っ張って欲しい選手として真っ先にT-岡田の名前を挙げたが、1年を通して期待に応えられたと言えるのは、優勝争いをした2014年だけだ。

 わずか58試合の出場に終わった'13年のオフには、当時の森脇浩司監督に「登録名を変えたらどうだ」と提案されたこともあった。

【次ページ】 ファンが考えてくれた名前だから……。

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