話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「タイミングがズレる」U-20の不安。
必要なのは、サッカーを楽しむ自信。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2017/05/17 11:00
課題点の修正に取り組みつつも、大舞台を楽しむ心持ちで大会に臨むこと。若き日本代表が躍動するために必要なエッセンスだ。
ボールを奪っても、すぐに奪い返されるシーンが。
堂安が前日にテーマとして挙げていた点だが、守備は連動してボールを奪うところはできていた。だが前半は奪い取ったまではいいが、相手にすぐ奪い返されるシーンが多かった。キープしきれていれば自分たちの時間、リズムを作ることができるのだが、それができずになかなか自分たちのペースに持っていくことができなかった。
それは、相手に球際で負けていたことも影響している。そこで勝てないと、どうしても相手に押しこまれてしまうことになる。そうして前半は全体的に滞り、小川航基の先制点ぐらいしかいいところがなかった。
失点は、前半の悪い流れの中で生じた。
1失点目は自分たちのCKからボールロストすると、きれいなカウンターを決められた。2失点目はDFの裏にスルーパスを出された。カウンターからの失点はサイドにいた相手にボールを出された時、初瀬亮がしっかりとクリアできれば防げた失点だが、こうしたシーンはおそらくW杯でも起こり得る。
攻撃陣も流れの中から点が取れなかった。
「カウンターのケアとセカンドボールを拾えなかったのが今日の課題です」
キャプテンの坂井大将はそう言ったが、ミス絡みの失点はすぐに修正することができる。
だが守備をトータルで見ると、昨年のU-19選手権で6試合連続無失点を続けた時のような完成度には至っていない。世界大会はアジアの戦いとは異なり、押しこまれ、我慢する時間が増えてくる。その時の拠りどころとなる組織的な守備を、初戦までにどのくらい昨年レベルに戻せるか。それが本番で勝ち上がるための大きなポイントになるだろう。
攻撃面もやや心配だ。
ホンジュラス戦では、セットプレーから2点を奪った。特に先制点となった小川のゴールは、坂井がニアサイドでボールを跳ね返す役割の相手を1つ越えるイメージで蹴り、そこに小川がドンピシャのタイミングで飛び込んで生まれたゴールだった。国際試合ではセットプレーからの得点が非常に重要になるだけに、日本は武器をひとつ手にしたといえる。
その一方で、流れの中から点が取れなかった。