月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
阪神なら報知、巨人ならデイリー!?
プチ鹿島4月のスポーツ新聞時評。
posted2017/05/01 17:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Sports Graphic Number
最近「新聞の読み比べの楽しさを語ってください」といろんなところで言われます。
新聞を擬人化すれば“おじさん”だと思うのですが、各紙の論調の違いを「おじさんが、自分の信じる正義を日々主張していると思えば興味深い」とまず説明します。
同じ案件でも新聞によって「テロ等準備罪」と「共謀罪」と呼び方が異なる。読者は自分の考えと合う新聞を読むことが多いはず。それは自然なことだと思うけど「今読んでる新聞と反対の論調の新聞も読むと面白いのでは?」とも提案しています。「相手側」の意見を読むことで発見もあるからだ。
そこで具体例で出すのがスポーツ新聞だ。
スポーツ紙によっては、推す球団がハッキリしている。
たとえば「スポーツ報知」は巨人、「デイリースポーツ」は阪神。
「報知」は読売グループだから当然だろうけど「デイリー」は阪神と直接関係なくても推している。それがファンに伝わり、阪神ファンは「デイリー」をよく読む。情報が偏っているからこそファンは嬉しい。勝った日の翌日はお祭り騒ぎで褒めポイントが多い。
でもこんなとき、巨人ファンは「デイリー」を、阪神ファンは「報知」をチェックしてみるといいと思うのだ。相手側の評価が「必要最小限のシンプルさ」で書かれているからだ。
「藤浪もいつかこんな投手になってくれたら……」
たとえば昨年4月7日のデイリースポーツの名物コラム「松とら屋本舗」は巨人の菅野についてこう書いた。
《中盤以降は手も足も出なかった。硬軟自在。しかも本格派のそれです。敵ながら…いや褒めてたまるか。でも、感じてしまったんだから書かなきゃいけない。藤浪もいつかこんな投手になってくれたら、うれしい。》
自軍のエースもいつかこんな投手になってくれたら、という最大限の褒め言葉。これを読めば「菅野ってホントにすごいんだな」と巨人ファンはあらためて知ることだろう。
では、4月21日~23日におこなわれた今季初の東京ドーム「巨人-阪神戦」3連戦を、「報知」と「デイリー」はどう伝えたか。相手側について書いているポイントだけに注目してみた。