月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
阪神なら報知、巨人ならデイリー!?
プチ鹿島4月のスポーツ新聞時評。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph bySports Graphic Number
posted2017/05/01 17:00
新聞各紙はそれぞれに独自の論調、名物コラムを持つが、特にスポーツ新聞ではそれが顕著なので、読者としてもより一層視野が広がるはず。
長嶋茂雄さんによるメッセンジャーへの見解を読む。
第1戦は阪神勝利。
というわけで「報知」をみてみよう。
長嶋茂雄さんのコメントをまとめたコラムに阪神・メッセンジャーの好投について書かれていた。
《マウンドに上がったメッセンジャーを見て、少し驚かされた。前年までとは明らかに体つきが違った。少なくとも3、4キロは体重を落としているように見えた。下半身をしっかり使っているため、ほとんどの球がしっかり指にかかって素晴らしいキレ味と抜群の制球を生んでいた。3、4年前の勢いを取り戻したような投球内容だった。》(4月22日)
「報知」のこの記事で今年のメッセンジャーはいかにコンディションが良いかわかる。阪神ファンは長嶋氏の見解を読んでワクワクすると思う。
阿部抜きで勝った巨人が、いかに脅威なのか?
では第2戦。
巨人が勝利した。
「デイリー」の「前トラ番キャップ・吉田風の取材ノート」という2面のコラムに注目した。タイトルは「内野手阿部の脅威」。
この日の試合では巨人・阿部が先発オーダーから外れた。ベテランを休ませながら使う高橋由伸監督の起用法。
「深刻な故障のない阿部がベンチに座っていてくれる。助かるなあ…。これが紛れもない阪神サイドの本音である。」と書きつつ、阪神・矢野作戦兼バッテリーコーチのコメントを載せている。
《巨人側からすれば、こういう試合を取ればムードは良くなると思う。村田も使えるし、チームとして機能していく形になるでしょ。だから、こちらとしては逆に機能させないようにしないといけない。(略)阿部のいない試合を勝っておくのは大事だと思う。》
しかしこの日勝ったのは巨人。
「飛車落ち」で取ったこの日の1勝はただの1勝じゃない、とデイリーは書く。巨人側からすれば、阿部抜きの試合を勝つことが相手にとっていかに脅威かよくわかる記事でもある。