畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
大学生がプロ選手になりたがらない。
畠山健介が考えるラグビー界の改革。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/04/28 11:00
サントリーサンゴリアスは獲得タイトル13を数えるトップリーグ屈指の名門である。それでも、プロ選手の比率は30%なのだ。
プロ化の準備は全く整っていないと感じる。
ラグビー界に身を置く者として、国内リーグであるトップリーグはラグビーそのものの競技力は向上していると感じるが、プロスポーツとしてやっていけるほど、スタジアムの設備やエンターテインメントなどの環境面が整っていない。ラグビーに興味・関心がない0の人たちがラグビーを見に来て、1になる整備がされていないと感じる。
そういった面では、スーパーラグビーのサンウルブズの秩父宮でのホームゲームは、ラグビーに興味・関心がない人たちでも楽しめる環境を整備しようという前向きな姿勢が感じ取れる。
プロ選手100%、社員選手0%の完全プロではなく、現在のプロ選手の割合である17%を向上させることが代表の強化につながると思う。では、プロ選手と社員選手の割合はどれくらいがベストなのか。
サンゴリアスの30%を超えてプロを増やすために。
昨シーズンのトップリーグと日本選手権の2冠を達成したサントリーサンゴリアスは、プロ選手と社員選手が混在するチームで、2015年の日本代表に通じる部分がある。
昨年のサンゴリアスメンバーはトータル44名。プロ選手は13名。社員選手は31名。割合にすると、30%がプロで、70%が社員という割合だった。
日本代表が強くなるためには、この30:70の比率を超える必要があると思う。
プロ選手は、ラグビーに費やせる時間も多い。身体のコンディションを整える時間も増やせる。真壁(伸弥)やキンさん(大野均)、ヤンブー(山下裕史)のようにどのチームでもプロ選手としてプレーできる規格外の社員選手は、そうそう現れるものではない。
世界の舞台で戦える選手を育成できる確率は、確実にプロ選手の方が高いと、実際にプロとしてプレーしている人間の肌感覚で感じる。そして、プロ選手の割合は30%よりも高くあるべきとも思う。
40%――。プロ選手40%、社員選手60%という「ハイブリッド」こそが、日本ラグビーにとってベストではないだろうか?