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大学生がプロ選手になりたがらない。
畠山健介が考えるラグビー界の改革。 

text by

畠山健介

畠山健介Kensuke Hatakeyama

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/04/28 11:00

大学生がプロ選手になりたがらない。畠山健介が考えるラグビー界の改革。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

サントリーサンゴリアスは獲得タイトル13を数えるトップリーグ屈指の名門である。それでも、プロ選手の比率は30%なのだ。

五郎丸を知らない人にラグビーを伝えるのが普及。

 現在のラグビークリニックに参加する子供たちは、何らかの形ですでにラグビーを知っている。フミさん(田中史朗)や山田(章仁)、ゴロー(五郎丸歩)など有名な選手がクリニックに参加すれば、「田中だ!」「山田だ!」「五郎丸だ!」と彼らの名前を発し、興奮を隠せないだろう。

 この子たちはすでにラグビーに興味・関心がある「1(いち)」の子供たちだ。僕たちが今まで行なってきた普及活動は、この1の子供たちに対し、1から2に、2から3に、4、5、6……そして100と、その子たちのラグビーに対する関心や熱量を1から100までに高めるファンサービス的な意味合いが強かったと感じる。この活動自体は否定しないし、先にも述べたように今後も必要な活動だ。

 しかし、本当の「普及」とは何だろうか? ゴローが出てきても「誰あれ?」といった反応や発言、「ラグビー? 知らない」というリアクションを取る、ラグビーに対する興味関心が「0(ぜろ)」の子供や大人たちを1にする活動だと思う。

 僕は「01(ぜろいち)活動」と勝手に呼んでいるが、これこそが本当の普及活動だと感じている。

世界大会で勝つこと「以上の01活動」はない。

 SNSで僕が何かを発信しても、それを受信するのはラグビーファンが大勢を占める。ラグビーを知らない人たちには届かない。もちろん、これはラグビーに限った話ではない。情報はその対象に興味・関心がある人にしか届かないものだ。

 どうすれば、興味・関心がない人たちにラグビーを知ってもらえるだろうか? ラグビー界には前例がある。日本代表が2015年W杯で南アフリカに勝ったことだ。

 ラグビークリニックは素晴らしい活動だが、1日に活動できるエリア、人、時間は限られる。一極集中型だ。

 しかし、日本代表が南アに勝ったことでTV、新聞、インターネット、SNS、様々な媒体を通じて、同時多発的に情報発信された。

 ラグビーを知らない、興味・関心もない人達にも届く。0が1になる。勝利にまさる01活動はないと、W杯を経験して僕は痛感した。その01活動のためには、日本代表が世界で結果を出せる強いチームでなくてはならない。

【次ページ】 日本代表の強化にかかわる3つのパート。

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