炎の一筆入魂BACK NUMBER
なぜ育成のドミニカンを実戦投入?
カープが視界に捉える連覇とその先。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2017/02/25 11:00
練習試合で豪快なホームランを放つアレハンドロ・メヒア。大器としての魅力たっぷり……に見える。
今季、広島の外国人枠争いは非常に過酷なはず。
特に広島の外国人枠争いは、他球団よりもハイレベルだ。
沢村賞のクリス・ジョンソンに、昨季チームホールド王のジェイ・ジャクソン。さらには先発中継ぎをいとわず投げるブレイディン・ヘーゲンズや日本通算101本塁打のエルドレッドがいる。そこに新外国人のライアン・ブレイシアにペーニャが加わった。すでに6人体制。
そこから絞り込む作業さえ苦労しそうな状況なのだ。
チーム事情を考えれば、外国人枠は投手3・野手1で行くのが妥当だろう。狭き門となった現状の外国人野手争いに割って入るだけの力が、育成契約の2選手にあるようには到底思えない。
確かに面白い素材であることは間違いない。
バティスタはチームで群を抜く飛距離を誇る。1次キャンプでも、選手が並んで行われるロングティーでは、バックスクリーンを直撃する130m超弾を打ち上げ、チームメートを「えぐい!」、「すげぇ……」、「やばい」と驚嘆させた。
米国では肩のケガで外野手を断念し、一塁として勝負するも1A止まりに終わった。カープアカデミーを経て来日し、もう肩も癒えたのか、一塁だけでなく外野守備にも奮闘している。ハマれば、エルドレッドにも勝るパワーをもつだけに、大化けに期待したくなる気持ちが湧くのもうなずける。
「メヒアを支配下選手にしても面白いかも」という声が。
だが実は、派手さのあるバティスタ以上に、メヒアの方が高い評価を受けている。
打撃練習から柵越えを連発するようなパワーを持っているわけではない。バティスタと同じように粗さが目立つ。それでも打撃、守備ともに柔らかさがあるのが特長だ。
バティスタ以上にコンタクトする能力は高く、実戦での対応能力もある。首脳陣の中には「メヒアを支配下選手にしても面白いかも」という評価まで聞かれたほどだった。
とはいえ、どちらも「未知数」の域は抜けないというのが現実だ。