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春高バレー連覇の下北沢成徳。
監督が語る教育、沙織、そして愛。 

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久保大

久保大Masaru Kubo

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2017/02/01 08:00

春高バレー連覇の下北沢成徳。監督が語る教育、沙織、そして愛。<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

春高連覇の中心となった3年生の(左から)山口珠李、山崎のの花、堀江美志、黒後愛は、今年Vリーグ入りが決まっている。

インターハイにマイナスでも、代表に選手を出す。

――成徳は、全日本ジュニアや全日本ユースなどの国際大会に選手を派遣します。バレーはチームスポーツですから、主力選手が抜けることは、高校で勝つことだけ考えれば、マイナスかもしれない。

「マイナスですね(笑)。インターハイ(優勝)はそれで苦労しました。愛たち3人が全日本ジュニアに行って、帰ってきてチームに合流したのが、試合の2日前でしたから。

 でも国内で試合をやっていても、国内の感覚しか身につかないんです。日本代表はシニアになってからでもいいという人もいますが、15歳から18歳という多感な時期に世界を見て、目に焼き付けておいてほしいんです。沙織も全日本で戦ったブラジルやイタリアの選手とは、ユースやジュニアの時から対戦していた。

 国内でしかやっていない人に、世界を目指せといっても、おそらく『何のこっちゃわからん』となるでしょう。現実に190センチのブロックと対峙して、打球の重さを体感して、『自分には何が必要なのか』を感じてほしい。選手の視野を広げるというのも、我々指導者の大事な仕事の1つだと思います」

「1行でもいいから高校女子バレーが目に触れる機会を」

――成徳の選手はインタビューをすると、みな自分の言葉でしゃべります。先生は、今回の春高でも選手への取材を断らずに受けさせていました。黒後だけではなくて、石川祐希の妹である1年生の石川真佑にも取材が殺到していましたが、それも断らなかった。

「少しでも、1行でもいいから高校女子バレーが表に出て、皆さんの目に触れて欲しいというのが第一にあります。それから、そうやって記事やテレビを見た人の中から1人でも応援してくださる方ができたら、それは選手にとって幸せなことだと思うんですね。

 一生懸命プレーしても、メディアに取り上げていただけない競技もたくさんあります。もし、監督が取材に驕ったような姿を見せると、選手もそうなってしまう。ですから、私も取材を面倒くさがらずにきちっと話す。取り上げていただくことに感謝する気持ちを持っていないと、応援してくださる方がいなくなってしまうよ、と指導しています。取材の先に応援してくださる方がいるという姿勢を、高校の時から身につけてほしいと思っています」

【次ページ】 1、2週間一緒に練習すれば、伸びる選手はわかる。

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