プロ野球亭日乗BACK NUMBER
WBCの陣容がほぼ決定、あとは采配。
選手のプライドより勝利を優先せよ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/01/25 17:30
侍ジャパンが監督初挑戦の小久保監督も今年で4年目。WBCにおける「成功」は、世界一奪還以外にありえない。
小久保采配を不安視する声は小さくない。
一部の関係者やファンの間で、小久保采配を不安視する声が少なくないのは事実だ。
一昨年のプレミア12では、準決勝の韓国戦で7回まで完璧な投球を見せていた大谷を、8回に降板させて則本にスイッチ。リリーフ経験の乏しい則本昂大に回跨ぎの9回まで投げさせて逆転を許した継投ミスが問題になった。
9回に則本が韓国の代打攻勢の前にあれよあれよという間に連打を食らってピンチを広げた。その間にベンチが大慌てする姿がテレビにも映し出され、ブルペンとの連係など、ベンチのマネジメントの悪さも露呈した。
攻撃面でも3点リードの7回に先頭の坂本勇人(巨人)が四球で出塁し、続く3番の山田哲人(ヤクルト)の初球に二盗。ここで坂本を確実にバントで三塁に進めるのではなく進塁打を選択した。1死三塁というシチュエーションを作れば外野フライだけでなくボテボテの内野ゴロやバッテリーエラーでも得点チャンスは広げられる。
試合は4回に日本が3点を奪った以降はこう着状態が続いていただけに、この1点は試合を決める重みがある得点だったはずだ。国際大会、特に相手投手のレベルも上がる準決勝や決勝ではそういう手堅さ、慎重さがなければ勝ちきれない。
しかし、小久保監督はより高い確率を求める采配をしなかった。
最も神経を使うのは、ケガなく選手を帰すこと。
その後も「勝ちにこだわる」と宣言した昨年11月のメキシコ、オランダとの強化試合もタイブレークの末に辛勝するなど、不安な戦いぶりだった。一方で、強化試合という枠組みで考えても、4番に中田翔(日本ハム)を起用し続けて筒香嘉智(DeNA)を据えたオーダーのテストをするわけでもない。その采配や起用の意図を疑問視する声が絶えないのも本番に向けた不安の一因でもある。
もちろんWBCや五輪など代表チームを預かる監督の厳しさ、プレッシャーは想像を絶するものがあるのも確かだ。
最も神経を注がなければならないのは、預かった選手をケガなくチームに戻すことで、決してムリな使い方はできない。シーズン前の大事な時期に12球団の主力選手を預かる責任が大前提で、チームを動かさなければならない難しさはある。