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“本物の目利き”がまた1人……。
サバティー二がついにローマを去る。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/01/02 08:00

“本物の目利き”がまた1人……。サバティー二がついにローマを去る。<Number Web> photograph by AFLO

ローマの“アンタッチャブル”であったトッティの処遇に心を砕いたのもサバティーニだった。

「彼らにはサッカーは計算と統計の対象だろうが……」

 辞任会見で、サバティーニは訴えた。

「パロッタ会長とその取り巻きたちは優秀な投資家で、彼らにとってサッカーは計算と統計の対象なのだろうが、私はサッカーをそうやって冷淡に見ることができない。私にとってサッカーボールは人工皮革の球体ではなく、魔法のつまった宇宙の神秘そのものなのだ」

 チーム編成の責任者として、SDサバティーニが打倒ユーベを果たせなかったのは事実だが、彼が挑んだ相手は王者だけではなかった。

 永遠の都にある享楽的なクラブ風土は、選手たちの精神的成長を蝕み、タイトルへの渇望を鈍らせる。

 温厚で知られるスパレッティ監督も、6節でトリノ相手に1-3で完敗を喫したときにはさすがに厳しい言葉でチームを弾劾した。

「何人かの選手たちは、強豪ローマの名前だけで勝てると思い上がっている。病み腐ったメンタリティだ」

 2001年のスクデットメンバーの1人で、今はイタリア選手協会会長の要職を務める元MFトンマージもまた古巣の現状を憂慮する。

「放映権料分配やCL出場収入が増大したことにより、クラブ側が経営的視点から2位や3位でも良し、とする風潮は年々強くなる一方だ。しかし、そこには競技としての観点が抜けている。タイトルを真剣に狙う姿勢が失われれば、そのチームには深刻な競争力低下が起こる」

スタジアム費用で市ともめる、どこかでみた光景。

 いつまで経っても建設が始まらない自前スタジアムも、ローマの懸念材料だ。

 鳴り物入りで発表されたスタジアム建設計画は、もう随分と前にローマ市当局へ提出されている。

 しかし、地下鉄などの周辺インフラ開発費用負担等をめぐって、議会とラッジ新市長は建設計画の大幅見直しを求めており、事態は遅々として進まない状況に陥っている。

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