セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
“本物の目利き”がまた1人……。
サバティー二がついにローマを去る。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/01/02 08:00
ローマの“アンタッチャブル”であったトッティの処遇に心を砕いたのもサバティーニだった。
クラブの資産額を5倍にした功績を忘れてはならない。
いわば政敵に敗れたサバティーニは、何のトロフィーももたらさないままローマを去った。
ただし、彼は決して小さくない置き土産を残していった。
2011年の夏、彼がローマのSDに就任したとき、クラブの総資産価値は、たかだか3740万ユーロに過ぎなかったが、選手売買収益を5年かけて地道に積み重ねたサバティーニは、同評価額を2億ユーロ近くまで引き上げていた。昨季の売上はクラブ史上最高、累積負債も昨季だけで3000万ユーロ近く減らした。
これをフロントとしての功績と呼ばずして、何と呼べばいいのだろう。
今季の後半戦、ローマはまたもリーグ戦で2位に終わるかもしれない。だが、狙うタイトルがコッパイタリアかELになっても、無精髭の元フロントが残していった潤う金庫がチームの支えになることは間違いないのだ。