セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
“本物の目利き”がまた1人……。
サバティー二がついにローマを去る。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/01/02 08:00
ローマの“アンタッチャブル”であったトッティの処遇に心を砕いたのもサバティーニだった。
ブチニッチ「スタジアムがあれば勝ち点が10増える」
ローマ(2006~11年)とユベントス(2011~14年)両方でプレーしたFWブチニッチは「2つのクラブの差はスタジアムの有無。もし、ローマに自前スタジアムがあればシーズンを通して勝ち点10は上積みできる」と指摘するが、スタジアム計画は宙に浮いた状態にある。
ローマは首位ユーベとの差を縮める貴重なチャンスだった17節の直接対決を0-1で落とした。
チームが受けたショックは大きかった。
だが、下を向いたチームメイトたちに黙っていられなくなったのが、寡黙な守護神シュチェスニだった。
「いつまでもガキのメンタルじゃ駄目だ。俺たち、大人の男気を見せるときだろ!」
これに触発されたMFナインゴランやMFペロッティらが、1人また1人と「数字上は厳しい。だがスクデットをまだ諦めない」と口にし始めた。
今、トリゴリア練習場ではスパレッティ監督が吹く終了の合図の笛を無視して、なおも練習に勤しむ選手たちの姿が見られるはずだ。
サバティーニを追い出したのは、セリエの重鎮。
事実上サバティーニをローマから追い出したのは、元SDであるフランコ・バルディーニとされている。
今世紀初頭、FWバティストゥータやDFサムエルら一流選手を買い漁り、名将カペッロと組んでローマにスクデットをもたらした名フロントこそバルディーニだ。センシ一族によって経営されていた当時のローマには、莫大な負債が残された。
現在、パロッタ会長の個人コンサルタントの肩書を得た彼は、再びローマの中枢で権力を握ろうと暗躍している。
バルディーニはすでに後任SDを選定済みだ。EL3連覇を達成し、欧州屈指の敏腕とされるセビージャのラモン・ロドリゲス・ベルデホ、通称“モンチ”の来夏SD就任が内定済み、と専らローマでは報道されている。