“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“高校No.1ストライカー”の意地。
京都橘・岩崎悠人の非凡なる頭脳。
posted2016/11/26 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
最後の代表校は京都橘となった。
第95回全国高校サッカー選手権大会は48校中47校が出揃い、11月21日に組み合わせ抽選会が行われ、すでにトーナメント表が完成していた。だが、ただ1地域だけ代表校が決まっていないところがあった。それが京都府だった。
京都府の決勝は抽選会に遅れて2日後の23日に行われた。そして、最後の代表決定戦となった西京極スタジアムには、他の試合とは違って多くの報道陣が詰めかけたのだ。
その視線の先にいたのが、U-19日本代表FW・岩崎悠人。
地元・京都サンガへの入団が内定しており、“高校ナンバーワンストライカー”として以前から注目の存在だったが、先のAFC U-19選手権優勝に大きく貢献したことで、その注目度はさらに熱を帯びていた。
岩崎は今予選でも、圧倒的なプレーを見せている。
準決勝の東山戦は開始早々に失点を喫する苦しい展開となったが、0-1で迎えた後半、右からのクロスに対してファーサイドで圧巻のダイレクトボレーシュートを決めてみせた。
バックステップを踏みながら、腰付近のボールに対し、正確に身体をかぶせて右足を振り抜き、ライナーでゴールに突き刺す――その後、PKを決めてアッサリとチームを逆転に導くと、3-1の勝利に最後まで存在感は絶大だった。
当然、決勝でも同様の活躍が期待されたが、彼を待っていたのは、初の決勝進出を果たした京都産業大学附属の徹底したマークだった。
京都産業大学附属が仕掛けた、徹底的なマンマーク。
京産大附は5バックの前にダブルボランチを置く【5-4-1】の布陣で挑み、岩崎がボールを持つと複数人で取り囲む徹底ぶりを見せた。
開始15分、競り合いながらもロングボールを見事に胸トラップでコントロールしてみせた岩崎。着地した瞬間からドリブルを開始したが、加速している途中でDFの強引なファールを受けて倒されてしまう。さらに、23分には中央でクサビを受けて仕掛けるも、3人に取り囲まれ再び倒されてしまった。
「抜いても抜いても(相手DFが)身体を張ってきたし、本当に執拗なディフェンスだった」
これは一筋縄では行かないと肌で感じた岩崎は、ここから別のプランを考え始める。
「2つの考えが浮かびました。割り切ってロングボールで入れたセカンドボールを徹底して拾うか、組み立ててサイドから崩すか」