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今季5度目の対戦は歴史的激闘に!
市船vs.流経柏の千葉決勝戦の壮絶。
posted2016/11/21 19:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
本当にもったいない。
この時期の彼らの戦いを見ると、いつもそう思う。
今年もそう感じる一戦だった。第95回全国高校サッカー選手権大会・千葉県予選決勝。市立船橋と流通経済大柏の一戦は、今年のインターハイ決勝と同じカードであった。
全国の頂点を決める決勝戦と、地区予選の決勝戦が同一カード。しかも、両チームはユース年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグに所属し、全国でもトップクラスの力を持つ。しかし……両校は予選を同じくする千葉県に所在するのである。
今年度、公式戦での直接対決はすでに4回あり、結果は以下の通りだ。
●インターハイ千葉県予選決勝
流経柏1-0市船
●高円宮杯プレミアリーグイースト第9節
市船1-0流経柏
●インターハイ決勝
市船1-0流経柏
●高円宮杯プレミアリーグイースト第15節
市船0-0流経柏
結果は2勝1敗1分けで市船が勝ち越しているが、白黒がついた試合はすべて1-0という接戦。まさに紙一重の差であることが分かる。そして、5度目の対戦はたった1枠しか無い高校選手権の千葉県代表の座を争う決勝戦となった。
市船も流経柏も確固たるサッカー観を持つ。
この2チームに共通しているのが、堅い守備からの素早い攻守の切り替えと、球際の激しさ。そして、サイド攻撃を軸としたショートカウンターの精度の高さも兼ね備えること。
全国トップレベルの実力を維持し続けている彼らには、1年間積み上げてきた自分たちの確固たるサッカー観がある。
「今年のチームは『前から押し切る』のがテーマ」
流経柏の本田裕一郎監督は、春先から前線からの激しいプレスを試合終了まで続ける、「超ハイプレスサッカー」を掲げ、試合で良い結果が出る出ないにかかわらず、全員にこの意識を徹底して植え付け続けた。
「時間もスペースもある中で、のらりくらりやっていることに慣れていたら、上では通用しない。もっと速く、激しく前線からプレスを仕掛けて、奪ってゴールを奪い切る。失敗をしても、やり通す。選手も辛かったと思うけど、強いフィジカルとメンタル、そして技術を持って成長をしてくれた」(本田監督)
尻上がりに調子を上げて行ったチームに、指揮官も確かな手応えを得るまでに至った。