“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“高校No.1ストライカー”の意地。
京都橘・岩崎悠人の非凡なる頭脳。
text by
![安藤隆人](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/f/-/img_bf61245775818e993f7b27afcadd69be52906.jpg)
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/11/26 11:00
![“高校No.1ストライカー”の意地。京都橘・岩崎悠人の非凡なる頭脳。<Number Web> photograph by Takahito Ando](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/0/a/700/img_0a24bc46b795e9bbe090b07d04025873141581.jpg)
試合を通じて徹底的なマークを受け続けた岩崎だが、それを逆手に取ったチーム戦術でも非凡な才能を見せた。
まずは、サイドからの崩しを連続的に仕掛けていく。
最初に選んだのはサイドからの崩しだった。
細かいダッシュを繰り返し、ゴール前中央に顔を出し続けることでパスコースと相手のDFを引き出し、ワンタッチでボールをはたいて、サイドに会いたスペースを味方選手に有効活用させようとした。
「大事なのは高い位置で起点を作り続けること。味方のサイドバックに高い位置を取らせたかったので、何とか僕のところで時間を作って押し上げて欲しいと思った」
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むやみにサイドに流れたり、必要以上にポジションを落とすこと無く、あくまでFWのポジションで中に残る。動き直しを繰り返すことで5バックの意識を自身に集中させ、DFラインを下げさせながら中央に寄せる。さらに、サイドでイニシアチブを握って、カウンターのリスクを最小限に減らす。どれだけ倒されても、岩崎の頭脳は明晰なままだった。
0-0で迎えた56分(40分ハーフ)。バイタルエリアでドリブルを仕掛けると、相手の足が掛かってまた倒される。しかし、その流れを生かしたまますぐに起き上がり、さらに仕掛けていくなど、連続性の高いプレーをこの後も何度も披露し続けた。
だが、一向にゴールを割ることが出来ない。
最初の試みが上手くいかないと、さらに次善の策を出す。
この状況に岩崎はさらに次のプランを考え始める。
「サイドに重点を置いても、上手くクロスが来ない状況だったので、もう1つの考えに切り替えた。僕と(堤原)翼で高い位置で並ぶことで、ロングボールからのセカンドを拾って仕掛けようと思いました。相手はカウンターが怖いチームなので、自分が中央に残ることで、より相手DFにプレッシャーをかけようと思った」
サイドに流れ気味だった堤原と自らの距離を近づけ、2人でバイタルエリア中央をかく乱する策に打って出たのである。
カウンターリスクのヘッジをしつつ、サイドバックの高い位置はキープさせたまま中央とサイドからの圧力を弱めない。
これが73分に結実する。