サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
大迫勇也の「運ぶドリブル」は強烈。
3度目のハリルJ、輝く条件は揃った。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/11/07 11:55
ポストプレーでも運ぶドリブルでも、体とボールの位置関係を把握する能力こそが、大迫勇也の「奪われなさ」を支えている。
FWを5人揃え、本格的に2トップを採用したケルン。
最近は大迫について、「好調だ」とか「成長した」ともてはやされることも多い。しかし周囲の喧騒をよそに、実は本人は現状を別の角度でとらえている。
「むしろ、個人的なプレーの内容としては、昨シーズンの方が良いなといえる試合はけっこうありましたよ」
そして「ただ……」と前置きしてから、大迫は続けた。
「そういうときは、『中盤の選手』として良いプレーをしていただけだから。それじゃあ、評価されない。やっぱり、フォワードで良いプレーをしないとね」
オーストリア人のシュテーガー監督と、ドイツでも屈指の手腕を持つことで知られるシュマトケGMとの二頭体制がスタートして4年目を迎えるケルンは、開幕前に明確なプランのもとに補強を進めていった。
中国行きがほぼ決まっていたエースのモデストを残留させ、ギラシーとルドニェフスという2人のFWを獲得。サイドのMFも出来るツォラーと大迫を含め、実力のあるFWを5人そろえ、今季は本格的に2トップで戦うことにした。
新システムの恩恵を一身に受ける大迫。
その成果が表れたのが、バイエルン相手にアウェーで引き分けた試合だった。シュテーガー監督が就任してから5-4-1、4-3-3など手を替え品を替えてドイツ王者と戦ったものの、結果を残せていなかった。しかし今季の対戦では5-3-2の2トップで戦い、アウェーで勝ち点をもぎとることに成功した。首脳陣による継続的な強化が、チームの成長につながっている。
そして、2トップ方針の恩恵を、大迫は一身に受けることになった。
新加入FWのなかでシュテーガー監督が特に獲得を熱望していたのが、ラトビア代表FWルドニェフスだった。開幕戦のスタメンの座も、モデストとともに彼が射止めた。しかし9月6日のW杯予選でルドニェフスが怪我をしてからは大迫がスタメンに入り、ラトビア代表FWの不在を補ってあまりある活躍を見せている。