サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
大迫勇也の「運ぶドリブル」は強烈。
3度目のハリルJ、輝く条件は揃った。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/11/07 11:55
ポストプレーでも運ぶドリブルでも、体とボールの位置関係を把握する能力こそが、大迫勇也の「奪われなさ」を支えている。
大迫「この戦い方なら、負ける気はしないです」
チームメイトに敬意を示しつつ、大迫は言い切る。
「この戦い方ならずっと試合に出続けられるだろうし、負ける気はしないです」
そして、前線の選手として試合に出続けられるからこそ、本来の力を発揮できるようになった。
「守備で頑張りすぎると、どうしても、攻撃のときに周りが見えなくなることがあるからね。なかなかボールを保持することの出来ないチームの選手としては、なおさらね(リーグ10節終了時点で平均ボール支配率は47%)。うちのチームには守備で頑張れるやつらが揃っているから、攻撃でボールを持ったときに違いを出せるように意識している。それで、攻撃のときに余裕が生まれているのかな」
ゴール目前で駆け引きをしかける精神的余裕。
大迫が攻撃時に輝くのは、ゴールや、ボールをキープするプレーだけではない。
例えば、10月30日のハンブルガーSV(HSV)戦の前半40分のプレー。左サイドの敵陣深くでスローインを得るチャンスがあった。
スローインのボールを受けた大迫が、マークに着いたHSVのDFに背を向けたまま、上体をゆらしてフェイントを入れる。そして、時計回りにターンする。大迫の左手にはゴールライン、右手に相手DFがいる状態だった。
しかし、そこでわざとDFに近い右足でボールを持ち、ゴールへと近づいていった。相手DFはその誘いに乗って足を出し、大迫を倒してしまった。判定はもちろん、PK。相手に奪われるリスクの少ない左足ではなく、右足でボールを持ち出した意図を大迫はこう話す。
「左足で持っていたら、相手は足を出してこなかっただろうからね。右足で持って少しスピードを落としたら、相手も我慢できなかった」
仮に相手DFが足を出してこなければ、ゴール至近距離から利き足でシュートを打つことも出来るし、他のDFがカバーに来ればゴール前の味方へラストパスも出せる。瞬時に、かくも多くの判断が出来るのは、大迫が余裕をもってプレーしている証拠に他ならない。