サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
大迫勇也の「運ぶドリブル」は強烈。
3度目のハリルJ、輝く条件は揃った。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/11/07 11:55
ポストプレーでも運ぶドリブルでも、体とボールの位置関係を把握する能力こそが、大迫勇也の「奪われなさ」を支えている。
ハリルの代表に呼ばれるのは、これで3度目。
そして、巧妙な判断の重要さは、日本代表のハリルホジッチが就任当初から説き続けてきたことでもある。
大迫は、11月11日のオマーンとの親善試合と15日のサウジアラビアとのW杯最終予選のメンバーに選ばれた。ハリルホジッチ政権下で代表に参加するのは、就任当初の'15年3月と、シンガポールとホームで引き分けた同年6月の活動に続いて、3回目となる。
過去2回は不本意なパフォーマンスに終始しているが、今回はどうだろうか。
ケルンでのパフォーマンスから観ても、現在の大迫の好調さは決してサプライズではない。
1シーズン目にレギュラーの座をつかんでいたころ、大迫はゴールを決めるだけでなく、ポストプレーや自らボールを運んでのチャンスメイクなど、相手守備陣にとって厄介な存在だった。様々な障害に遭遇した2シーズン目に、本来の実力を出し切れなかっただけなのだ。
そして今の大迫は、力を出しきる術を身につけつつある。
今回の代表戦で、3度目の正直とばかりに、ハリルホジッチ監督の下で出せていなかった力を発揮する可能性は高い。
ボールを運ぶドリブルが大迫は日本人トップクラス。
10月のオーストラリア戦のような引く戦いをすれば大迫の能力が生きるし、何より彼はボールを運ぶ能力が高い。
日本では「ドリブル」というと、メッシのように相手を抜くようなプレーも、相手のプレッシャーを受けながらボールを運んでチャンスを作るプレーも、両方含んでしまうのだが、後者の運ぶドリブルの能力において、大迫は日本人のなかでもトップクラスだ。
ハリルホジッチ監督はこれまで、日本人には珍しいボールを運ぶ能力を生かそうと原口元気を中央のポジションで起用し続けてきた。しかしUAEにホームで敗れてからは、原口を左FWに移している。そこからの原口の活躍は説明するまでもないが、大迫の運ぶ能力も、代表の中で輝く可能性は十分にある。
11月11日のオマーンとの親善試合が行われるのは、カシマスタジアム。大迫にとって第2の故郷である。
「楽しみですよね。一番好きなスタジアムなので。だって、自分が一番多く点を取っているスタジアムだから」
大迫が本来の力を発揮するための条件は、そろっている。停滞感の漂う代表に、大迫が新たな風を吹き込んだとしても、決して不思議ではないのだ。