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大迫勇也の「運ぶドリブル」は強烈。
3度目のハリルJ、輝く条件は揃った。
posted2016/11/07 11:55
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
負けを認められる人間は強い。
己に足りないものを、客観的に把握できるからだ。把握できれば、課題に取り組める。
今の大迫勇也があるのは、問題だらけの現実に目を背けることなく向き合ってきたからに他ならない。
昨シーズンの大迫には、言い訳にできる材料がいくつもあった。
わずか1週間しかオフが与えられなかったり、途中出場となった開幕戦でゴールを決めたにもかかわらずに負傷し、復帰後も痛みを押しながらプレーせざるを得なかったり……。さらにシーズン終了間際には、ホームシックにかかっているという“誤報”も出ている。
それでも、昨シーズンを終える時に、こうはっきりと語っていた。
「オレのところで点を獲るチャンスはけっこうあった。“数えるほどしかなかった”というわけではないから。そういうところで決めておけばもっと流れも良くなっていたと思うし、シーズン後半戦もずっと試合に出られたと思いますから。ああいう(守備的な)サッカーで二桁得点は難しかったかもしれないけど、シーズンに7、8点獲れるくらいには」
だからこそ今季の開幕前に、ともすれば無骨ともいえる大迫が次のように話したときには、言葉以上の意味を感じずにはいられなかった。
「今年は良いニュースを届けられるように頑張りますよ!」
3年目で初の月間MVP、契約も延長した。
はたして、大迫は昨シーズンとは違った姿を見せ始めている――。
11月3日、クラブの公式HP上の投票による月間MVPに選ばれたのは、大迫だった。ケルンに来て3年目にして、初めてのことだ。先のホームシック報道に限らず、地元メディアから辛らつな評価を受けていた時期もあっただけに、隔世の感がある。
さらに、今季終了時までだったケルンとの契約も、10月20日に3年間延長することで合意した。ブンデスリーガの初代王者(1963-64シーズン)の威信をかけたチーム復活プロジェクトの中核を担う存在として、クラブも期待を寄せる。