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U-19選手権は最強DFで無失点優勝!
アジア最強チーム、今後の伸びしろ。
posted2016/10/31 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Getty Images
濃厚な120分だった。
AFC U-19選手権決勝、サウジアラビアと対戦したU-19日本代表は、延長戦を含めた120分を戦い抜き、0-0のスコアレスドローから、PK戦の末に勝利を掴み取った。
10年ぶりにU-20W杯の扉をこじ開けた次は、日本サッカー史において初となるAFC U-19選手権での優勝、すなわちこの世代でのアジアチャンピオンの栄冠を手にすることとなった。内山篤監督率いるU-19日本代表は、この大会で手に入れるべきものをすべて手にし、まさに“ミッションコンプリート”の大会となった。
決勝の相手はサウジアラビア。
準決勝でイランを6-5で破り、今大会決勝まで16得点を奪っている強力攻撃陣が売りだ。日本が対戦して来た今大会の中で、間違いなく一番強いチームだった。
決勝トーナメントに入ってからは、タジキスタン、ベトナムという、日本を“必要以上にリスペクトしてくれた”チームが相手だったために、日本代表は相手がほぼノーチャンスになるような内容で快勝を収めてきた。スタンドから見ている筆者も、90分間安心して試合を観ることが出来た。
しかし、サウジアラビアは違った。
サウジアラビアの立ち上がりの猛攻を見た瞬間、身体に震えが走った。
「ようやくアジア最終予選らしくなって来た」と実感し、日本がチーム立ち上げから根幹として来たコンセプトを実践するための格好の相手だと思った……まさにアジアファイナルに相応しい相手だった。
「攻守でコンパクトに」という絶対的コンセプト。
内山監督がこのチームでずっと追求してきたコンセプトは、「攻守においてコンパクトにやる」こと。
中東のチームは日本に対してロングボールを多用し、中盤のプレスを回避すると共に、パワーとスピードでDFラインの裏をシンプルに狙うことを戦術としてきた。それに対応すべく、日本側は「相手が得意とするオープンな展開に持ち込ませず、自分達の得意とする前線からのハイプレスをすること。さらに、奪ってからサイドを起点にして3人目の動きを入れながら崩していくサッカー」(内山監督)を狙っていた。
かくしてサウジアラビア戦は始まった。